8月16日、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、北極海における海氷面積が観測史上最小になっていると発表しました。
参考:北極海での海氷面積が観測史上最小に(今後さらに予測モデルを大幅に上回る減少の見込み)
これは、海洋・大気観測データ、衛星観測による海氷データを解析した結果、判明したものです。北極海における海氷面積が、過去最小を記録した2005年夏を大幅に上回るペースで減少し、8月15日に、1978年から開始された衛星観測史上最小となったことを確認しました。海氷の減少は、9月中旬まで続き、海氷面積はさらに大幅な減少となる見込みです。この海氷の減少は、国連のIPCC第4次報告書で予測されている北極海での海氷の減少を大幅に上回るものです。
ただし、北極の海氷が溶けても、海面が上昇して洪水が起こることはありません。水に浮いている氷が解けても水面の高さが変わらないことは、コップの水に氷を浮かべて観察すればすぐに分かります。(中学校で習ったアルキメデスの原理です)
しかし、氷の溶けた海面は、氷よりも太陽光を吸収しやすいため、海面が広がるとますます暖まりやすくなり、海水温の上昇に拍車を掛けることになります。生態系の変化なども起こり、地球環境に様々な影響が出ることが懸念されます。
なお、AMSR-E(アムサー・イー)により観測された、北極圏の海氷の様子は、毎日インターネットで見ることが出来ます。
参考:AMSR-E北極圏海氷モニター
AMSR-Eとは、米国地球観測衛星Aqua(アクア、2002年5月打上げ)に搭載された高性能マイクロ波放射計。地球から放射される微弱な電波を観測することで、海氷をはじめ、海面水温、水蒸気、降水などを昼夜の別なく天候にも左右されずに計測することが可能となりました。