「ポピュリズム(大衆迎合)の危険なにおいがする」….74歳以上の高齢者のための長寿医療制度(後期高齢者医療制度)を「うば捨て山よりひどい」などとヒステリックに批判する民主党など野党に対し、北國新聞は4月16日付の社説で、こう指摘し、高齢者の不安をあおるだけの無責任な姿勢を厳しく非難しました。
長寿医療制度は、高齢社会の進展に伴って、将来にわたって持続可能な医療制度を構築するために創設されたものです。高齢世代内でも所得の多い人には応分に負担してもらおうという仕組みが盛り込まれ、全体として、所得の低い高齢者の保険料はこれまでより下がる制度設計がされています。
しかも、治療や窓口負担も原則として、今までと全く変わりません。また、患者が希望すれば、かかりつけ医(担当医)を持つことも可能になり、医療サービスの向上も期待できます。市町村単位の制度から都道府県単位にしたことにより、財政基盤も安定しました。
新制度を正確に理解すれば、「うば捨て山」などという野党の批判は全くの的外れで、単なる言いがかりにすぎないことは明らかです。
保険料の天引きに対して、マスコミでは不満の声が声高に報道されています。政府が天引き方式を導入したのは、お年寄りの手間を省き、保険料を確実に徴収し、行政コストを減らすことが狙いです。今まで、国保の加入者は、銀行振り込みなどでわざわざ、保険料を納める必要がありました。保険料は、義務として納める必要があるのですから、手数が大幅に減ることになります。
実際に、国民健康保険と比べて長寿医療制度の保険料がどのように変化したかを、シミュレーションしてみました。それによると、茨城県の場合、国民健康保険の加入者で所得が平均以下であれば、多くのケースで、保険料は安くなりました。
基礎年金年額79.2万円の単身者と厚生年金201万円の単身者、夫201万円+妻79.万円の夫婦の場合(いずれも資産なし)の3つのケースを比較してみました。
基礎年金だけの場合は、県内44市町村で43市町村が保険料引き下げとなっています。そもそも国民健康保険料は、市町村によって格差が大きく、最も高いつくば市では年額2万3200円であったものが1万1200円と1万2000円も負担が軽減されました。保険料が半額以下になったことになります。反対に、値上がりになった唯一の自治体が東海村です。原子力施設が立地する東海村は、国保会計に潤沢な一般会計を補填していたので、国保保険料は低いベースに据え置かれていました。その結果、長寿医療制度に移行して年額で800円負担増となりました。
厚生年金の平均的な金額を受給している単身者の場合は、東海村と旧美和村、旧緒川村を除いて負担減となりました。
次に厚生年金を受給している夫婦の場合をみてみると、旧内原町、旧十王町、旧三和町、大洗町、東海村、常陸大宮市、神栖市、牛久市、守谷市、関城町、明野町、協和町、かすみがうら市、笠間市で負担増となりました。夫婦世帯の場合、保険料の減額基準である所得が、世帯主(夫)の分も含まれるために減額幅が少なくなるために、負担増になるケースが増えると考えられます。しかし、人口比から見ても負担がすくなる方の方が、圧倒的に多くなることは確実です。
扶養家族がある場合の負担軽減策を見直すことによって、長寿医療制度はよりお年寄りに優しい制度になると確信します。
(この記事に使用した保険料の数字は、井手よしひろ県議が県の国民健康保険室に資料請求し、提供されてものを再計算したものです。なお、保険料は年額計算しています)
14日午前中、「長寿医療制度」について、市内北部地域の君島地区内に住んでいる高齢者の方々14人と懇談をしました。