民主党は具体的な不況克服の対案示せ
国会での定額給付金の議論が迷走しています。テレビやマスコミが伝える定額給付金のニュースは、「麻生太郎首相が定額給付金を貰うか貰うわないか」が大きく取り上げられています。100年に一度の大不況にあたって定額給付金がどのような効果をもたらすのか、もし定額給付金より効果的な施策があるとすればどのような対策なのか、ということです。
定額給付金の経済効果は、当初政府の試算では、最終消費支出を0.1%押し上げるとしていましたが、昨年(2008年)12月19日の経済見通しで、0.3%の押し上げ効果があると見直しました。2兆円で0.3%の押し上げ効果のある政策は今のところ、他に見当たりません。大変な経済効果だと思います。
また、政府経済見通しでは、概ね4割程度が消費に回ると想定しているので、仮に2兆円すべてが消費に回ると、民間消費支出を0.7%程度も押し上げる効果があります。
本来であれば、この経済効果や国民生活への支援効果より高い政策を野党は提案し、与党との論戦に挑むべきだと思います。この点では、マスコミもミスリードが続いているいわざるを得ません。
しかし、ジャーナリストの一部には、大本営発表のような定額給付金バッシングに対して異論を唱えている人もいます。上杉隆氏は、ダイヤモンドオンラインコラムからで次のように指摘しています。
誰だってもらえるものは嬉しい
定額給付金の国民への「還元」を妨げる愚
週刊上杉隆【第60回】 2009年01月08日 より抜粋
さらにいえば、そもそも政府がもったいぶって支給するという今回の定額給付金の原資は私たちの税金である。それは国有財産でもなければ、ましてや麻生首相の個人資産でもない。国に預けた自分たちの「資産」が少し戻ってくるだけなのだ。
また、2兆円の給付金は、雇用対策や社会保障など、他のことに使うべきだという民主党などの意見にも違和感を覚える。
たとえば、平成21年度の政府予算案は約88兆円、そのうち一般財源化が決まった道路建設関係費だけでも約6兆円にも上る。昨年度、国土交通省は交通需要推計を下方修正し、道路建設費の圧縮は可能となっている。ならば、そうした財源を道路建設からさらに求めてもいいはずだ。つまり、雇用対策費や医療・社会保障費が緊急に必要ならば、定額給付金の2兆円とは別に、改めて2兆円を搾り出せばいい。
国会対策上、定額給付金の政策を攻めるあまりに、国民への給付金の「還元」を妨げるべきではない。多くの国民にとって、1万2千円は決して小さな額ではない。
民主党も、渡辺議員も、そこを間違えているのではないか?
公明党の北側一雄幹事長は「定額給付金は、むしろ定額還付金の性格が強い」と語っていますが、まさにその通りです。
与党と野党が雁首をそろえて、2兆円の定額給付金の経済効果をいかに高めていくか、こうした建設的な議論を国会で積み上げていただきたいものです。