10月13日午後、「さくらシティーひたち」の解体工事が10月17日から始まることが分かりました。工事期間は、来春5月31日までの予定です。
そもそも「さくらシティひたち」は、1985年、地元の百貨店「伊勢甚日立店」として開業。日立市の中心部、市役所から徒歩3分の場所に位置し(所在地:日立市神峰町1-7-7)、敷地面積:11,671m2(3,530坪)、延床面積:43,519m2(13,164坪)、SRC造、地上5階地下1階建ての建物で、屋上と5階部分に316台分の駐車場を完備していました。ジャスコ(現イオン)グループの「ボンベルタ伊勢甚」として、2005年の5月20日まで20年間営業を続けました。その後、投資会社ニューシティコーポレーショングループが、2006年11月11日に、同ビルを全面改装してテナントビルとしてオープンさせました。
2008年9月、アメリカ発の金融危機、いわゆるリーマンショックの影響を受け、ニューシティコーポレーションは資金繰りに行き詰まり、9月に突然営業を中止、10月に廃業に至りました。
その後、一時日立商工会議所を中心に再建に向けての取り組みが行われましたが資金が集まらず頓挫し、現在に至っていました。
さくらシティー日立については、この夏以降、水戸市の不動産会社が仮登記を行ったことが巷間伝えられ、再開発への期待が高まっていました。今回、10月10日付で周辺住民に、さくらシティ日立の解体工事を請け負った群馬県の解体業者が、工事開始の挨拶を行ったことで、事業の進捗が明らかになりました。
ただし、13日現在で建物を更地にした後の利用計画は、全く示されていません。事業主体となる開発業者も明らかにされておらず、この土地がどのように利用されるのか、住民には不安の声も広がっています。
井手よしひろ県議は、日立市をはじめとして関係者から、出来るだけ早く具体的な跡地利用計画を調査する予定です。
(写真上:さくらシティ日立の現状10月13日午後6時撮影、写真下:2004年8月当時のボンベルタ伊勢甚)
10月15日、地元新聞各紙はさくらシティ日立の解体のニュースを一斉に報じました。各紙とも解体後の具体的な跡地利用計画は、現時点では不明確と伝えています。
さくらシティ解体か、日立市
業者が住民に文書
読売新聞(2009/10/15)
米リーマン・ブラザーズ破綻(はたん)の影響で、昨年閉館した日立市神峰町の複合商業施設「さくらシティ日立」の解体に向けた動きが進んでいることが14日分かった。群馬県館林市の建設解体業者が「工事を請けさせていただいた」などとする今月10日付の文書を、周辺住民に配布した。しかし、建築物を解体する際に必要な市への届け出は同社名で行われておらず、市は事実確認を急いでいる。
文書によると、工期は「10月17日~来年5月31日予定」。建設リサイクル法は、解体工事着手の7日前までに届け出が必要としているが、市によると、14日現在、同社からの届け出はないという。
市には県内の別の業者名で今年9月、解体工事の届け出が出されており、市は「請け負ったのが館林市の業者であれば、届け出とは異なり、再提出を求める。さくらシティの権利者が解体に同意しているのかも分からない」と困惑している。
さくらシティの権利関係は複雑化しており、今月1日現在の不動産登記簿などによると、建物には所有権者のほか、税の滞納で差し押さえをしている県と日立市、抵当権設定者の権利者がいる。
館林市の業者の担当者は14日、読売新聞の電話取材に対し「解体工事は(権利者の一人の)水戸市の不動産会社から請けたが、まだ契約はしていない」と説明。「請負契約を結べば、市に変更届を提出する」としている。さくらシティを巡っては「中心部の灯(ともしび)を消してはいけない」と、日立商工会議所の有志が合同会社を設立し、抵当権の買い取りを目指したが、断念した経緯がある。