2月2日、石井啓一党政調会長(茨城県本部代表)の衆院予算院会での菅総理への質問は、見応えがありました。2日夜の「報道ステーション」でも大きく取り上げられ、「民主党は年金の案も出せない。いくらかかるかも示さない。話になりませんね」「民主党のマニフェストとは何か。これではマニフェストは選挙前の青写真と言い換えてもらわないと」と、石井質問でやっと国民にもそのデタラメさが知らされたようです。
民主党の年金案なるものは、(1)厚生年金等と国民年金を一元化する、(2)税を財源とする7万円の最低保障年金と所得比例年金を組み合わせる、この二つが骨格となっています。
ところが、(1)の一元化については「年金改革 看板倒れ」「一元化撤回を示唆」(3日付の朝日新聞)というように、「大変難しい問題を抱えている」と菅首相は答弁。民主党案の根幹にかかわる問題を、実現は難しいと発言しました。
(2)の最低保障年金については、それが「所得が一定以上の人は減額」されるとしているのに、所得がいくらから減額され、いくらでゼロになるか、数字が全く不明であることを指摘。さらに、総額でいくら税が必要になるのか全く不明であると厳しく追及しました。それに対して、菅首相は「数字を固めていなかった」と発言しました。
これまで公明党は、「具体的な数字を示せ」と主張してきましたが、「野党だから厚生労働省が基礎となるデータを示さない」と、民主党は主張してきました。しかし、与党になってすでに1年5カ月あまり。全く確たる案が出せないままできています。
ここにきて石井質問で、確たる民主党案なるものがない。デタラメだったことが、国民の前に明らかになりました。
それにもかかわらず、「4月に民主党の改革案をまとめる」「幅広く検討したい」「与野党協議をお願いしたい」と、強弁する菅首相。無いに等しい民主党案と、公明党案をどのように比較し、検討、協議すするのでしょうか。
公明党は2004年の年金改革「100年安心プラン」で、日本の年金制度を持続可能な制度としました。それによって、現時点で、年間50兆円の年金は、滞りなく給付は行なわれています。
その上で、現在、年金の最大の問題は国民年金の充実。満額で6万6千円しか給付されない国民年金を、8万3千円に引き上げる。受給資格を得るために必要な25年を10年に短縮すると主張しています。
民主党は、年金政策の破綻を真摯に認め、国民に謝罪すべきです。そして、現在の衆院の議席は、その嘘のマニフェストで国民を欺いて奪取したものであり、速やかに総辞職か衆院を解散すべきす。
年金政策
具体的な数字もなくいい加減な民主党案
石井啓一党政調会長、衆院予算院会質問(2011/2/2)
石井 社会保障と税制の一体改革について首相は、「野党の方が議論から逃げようという姿勢が見えている」などと挑発的な発言を繰り返している。公明党は昨年6月、社会保障に関する与野党協議会の設置を提案した。昨年末には「新しい福祉社会ビジョン」の中間取りまとめを発表し、与野党協議に応じる準備ができた。今まで逃げてきたのは民主党の方ではないか。
首相 私のいろいろな発言について指摘があった。若干の言い過ぎがあったとすれば謝りたい。公明党が「新しい福祉社会ビジョン」を出したことは承知しており、内容についても私たちの方向と軌を一にするところも多い。
石井 福田内閣の時代、民主党に社会保障国民会議への参加を呼び掛けたが拒否された。ところが与党になったら逆に与野党協議に参加しないと野党を批判している。ご都合主義で、民主党は野党時代の行動を反省して謝罪すべきだ。
首相 反省が必要なところもあった。政局的な判断に偏り過ぎた。
石井 民主党の年金改革の柱は、一つは年金の一元化、もう一つは最低保障年金を全額税(方式)で行うと理解している。1日の衆院予算委では、民主党のマニフェストをベースにしながらもさまざまな案を検討する趣旨の答弁があった。民主党のマニフェストを変更する可能性があるのか。
首相 マニフェストには09年、10年のものが存在しており、それらをベースに民主党あるいは内閣として6月までに(税との一体改革)案を作っていきたい。
石井 民主党案に具体的な数字はない。最低保障年金7万円ということだけだ。これから社会保障の費用の議論をしようというのに、なぜ民主党(案)の財源がどれぐらい掛かるか分からないのか。これでは議論できない。
首相 具体的な数字を固めていなかった。数字の面で、まだ確定した案になっていない。4月に提示するもの(社会保障改革案)に(民主党案が)そのままスライドするものではなく、幅広く検討していく。
石井 (年金の)一元化は難しい問題だ。厚生年金や共済年金は事業主が保険料を半分負担しているが、国民年金の場合は事業主に相当する方はいない。
首相 一元化の難しさは私たちも認識している。制度設計によってさまざまな選択肢があり得る。結論はまだ出していない。
石井 民主党の年金改革がいかにいい加減だったかがはっきりした。政権に入ってから1年5カ月近く何をやっていたのか。よく与野党協議をやろうと言えたものだ。