7月31日、県議会基本条例検討委員会が開催され、基本条例の骨子案について、委員長提示の全体構成が承認されました。基本条例の全体構成は、5月に各会派から提案された盛り込むべき事項や県民からの意見を参考にまとめられました。前文と9つの章で構成することになりました。例えば、第1章総則では基本条例の目的を「茨城県議会の基本理念、茨城県議会議員の責務や活動等を明らかにするとともに、県民と議会との関係、議会と知事その他の執行機関との関係その他議会の基本的な事項を定めることにより、議会の権能を最大限に発揮しながら、県民の負託に的確に応え、もって県民福祉の向上及び茨城県の発展を図ることを目的とする」といった内容となります。
今後、県民から意見を直接聞く会を開催し、9月の委員会で具体的な案文を検討することになります。
その後、条例案に対してパブリックコメントを実施し、12月の第4回定例県議会に提案する予定です。
基本条例の骨子案については、各会派の意見がまとまりましたが、「県民から意見を聞く会」開催予定についての議論が紛糾しました。
意見を聞く会は8月23日に水戸市内で、青少年やPTA、経済、高齢者などの団体から10人程度の出席を求めて実施する案が提示されました。公明党を代表して出席している井手よしひろ委員は、「県議会に集まってもらうのではなく、むしろ県民の中に出向いて実施すべき。各地域ごとに複数回の開催が必要ではないか?できれば、夜間、土日などより多くの意見を聴ける時間帯での実施も検討すべきである」と強く主張しました。これに対して、委員長は時間的な制約があるとしましたが、他会派の委員も複数回の実施は譲れないとしたため、23日の聞く会以外にも開催していくことになりました。
前 文
(本条例の主旨・理念等を示す前文を設ける)
第1章 総則
目 的
茨城県議会(以下「議会」という)の基本理念、茨城県議会議員(以下「議員」という)の責務や活動等を明らかにするとともに、県民と議会との関係、議会と知事その他の執行機関(以下「知事等」という)との関係その他議会の基本的な事項を定めることにより、議会の権能を最大限に発揮しながら、県民の負託に的確に応え、もって県民福祉の向上及び茨城県の発展を図ることを目的とするといった内容を記述します。
基本理念
議会は、二元代表制の一翼を担い、県民を代表する議事機関として、県民の意思を県政に反映させるため、公正かつ公平な議論を尽くし、真の地方自治の実現を目指すことを記述します。
第2章 議会の運営
議会運営の原則
議会は、合議制の機関としての審議の充実や効率的かつ透明性の高い運営に努めることを記述します。
議会の説明責任
議会は、議会運営、政策立案、政策決定等に対し、県民に対して説明する責務があることを記述します。
議会の役割
議会は、次のような役割を担うことを記述します。
・ 議事機関として、議決により県の意思決定を行うこと。
・ 知事等の事務の執行について、監視及び評価を行うこと。
・ 県政の課題に関し、政策の立案及び提言を行うこと。
・ 意見書、決議等により、国等に意見表明を行うこと。
質問等の充実
議会は、多様な方式による議員の質問及び質疑等により、真摯な議論の展開及び充実に努めることを記述します。
議員による検討組織の設置
議会は、県政の課題等に関して、調査、協議等を行う必要がある場合には、議員で構成する検討組織を設置することができることを記述します。
調査機関の設置
議会は、必要に応じ、審査又は調査のための機関を設置することができることを記述します。
調 査
議会は、議案や知事等の事務に関する調査を行うほか、県政及び議会活動に関する課題の解決に必要となる調査研究を行うことを記述します。
第3章 議員の責務及び役割
議員の責務
議員は、県民の負託にこたえるため、県政の課題とこれに対する県民の意思を的確に把握し、議会活動を通じて、県政に反映させる責務があることを記述します。
議員の役割
議員は、その責務を果たすため、次のような役割を担うことを記述します。
・ 本会議、委員会等(以下「会議等」という)に出席し、審議、審査等を行うとともに、必要に応じて議案を提出すること。
・ 県政の課題について、必要な情報収集、調査及び研究並びに政策の立案及び提言を行うこと。
・ 県政及び議会活動について,県民への説明に努めること。
議員は、これらの役割を担うために必要な資質の向上を図るため、不断の研さんに努めることを記述します。
会 派
議員は、議会の活動を円滑に行うため、会派を結成することができることなどを記述します。
第4章 県民と議会との関係
県民の参画の推進
議会は、県民が議会活動に参画する機会を確保するよう努めることや、県民の意思を的確に把握し県政に反映させるため、委員会の運営に当たり、公聴会及び参考人の制度の積極的な活用に努めることなどを記述します。
広報広聴活動の充実議会は、県民に開かれた県議会を実現するため、多様な手段を活用し、広報広聴活動の充実に努めることを記述します。
会議の公開等
議会は、その意思決定に至る過程を県民に対して明らかにするため、会議等を原則として公開することなどを記述します。
第5章 議会と知事等との関係
知事等との関係の基本原則
議会は、二元代表制の下、議決権を有する機関として、執行権を有する知事との権能の違いを踏まえ、互いの役割を尊重しつつ、対等かつ緊張ある関係を保ちながら、自らの権能を最大限に発揮し、共通の目標である県民福祉の向上と県政の発展に努めなければならないことを記述します。
監視及び評価
議会は、知事等の事務が適正、公平かつ効率的に執行されているかを監視し、その効果及び成果について評価するとともに、必要に応じ知事等に対し、適切な措置を講じるよう求めることを記述します。
政策の立案及び提言
議会は、議員提案による条例の制定、議案の修正、決議等を通じて、積極的に政策立案及び政策提言を行うことを記述します。
第6章 議会改革
議会改革の推進
議会は、地方分権の進展等の社会情勢の変化に対応し、継続的に議会改革に取り組むことを記述します。
議会改革推進組織の設置
議会は、議会改革に継続的に取り組むため、議員で構成する常設の組織を設置することを記述します。
第7章 政治倫理
政治倫理
議員は、県民の負託により県政に携わる権能と責務を有することを深く認識し、県民全体の奉仕者としての自覚を持ち、公正、公平及び清廉を基本として、常に品位の保持及び政治倫理の向上に努めなければならないことを記述します。
第8章 議会事務局等
議会事務局
議会は、議会の機能を向上し、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の機能の充実強化に努めることを記述します。
議会図書室
議会は、議員の調査研究等に資するため、議会図書室を適正に管理運営するとともに、機能の充実に努めることを記述します。
第9章 補 則
他の条例等との関係
この条例は、議会に関する基本的事項を定める条例であり、議会に関する他の条例、規則等を制定し、又は改廃するときは、この条例の趣旨を十分に尊重しなければならないことを記述します。
条例の見直し
議会は、社会情勢の変化、県民の意見等を踏まえ、必要があると認めるときは、条例の見直しなどの措置を講じることを記述します。