東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、エネルギー政策の大きな転換が課題となっています。
電力消費の多い日本では、逼迫する電力事情を背景に、省エネ対策として公共施設へのLED照明の導入は積極的に検討すべき課題といえます。またLED照明の導入は、電気料金値上げによる財政負担の軽減を図ることにもつながります。
しかし、LED照明への「切り替え」となると、照明器具が高価なため、予算確保に時間がかかることが予想されます。また、導入できても、初期費用は重い負担とならざるをえません。逼迫する電力事情と省エネ対策を推進するために、こうした事態を打開したいところです。
その一つの手法として、民間資金を活用したリース方式によって公共施設へのLED照明導入を進める動きがあります。リース方式を活用することによって新たな予算措置をすることなく、電気料金の節減相当分でリース料金を賄うことを可能とするものです。
従来から地方自治体の予算は単年度主義が原則となっており、リース方式を導入してLED照明を導入することに、多くの自治体が消極的な姿勢を示してきました。
しかし、大阪府、神奈川県など先進的な事例を多く報告されるようになり、茨城県内でも取手市が、今年その先鞭を付けました。
取手市は、2012年4月から約5カ月かけて、市内の約9700基の防犯灯を全て蛍光灯から発光ダイオード(LED)に交換しました。
取手市によると、蛍光灯を使用した防犯灯による年間経費は、電気料金の約2600万円と蛍光管の取り換えを含む修理費の約1500万円が必要で、無点灯による市民からの通報なども多く、市職員が対応に追われていました。
今回のLED化は、リース会社から10年契約で賃借する方法を導入。この場合、初期設置費は約2億500万円(メンテナンス込み)掛かりますが、年間経費は電気料金の約1400万円のみ。10年後には蛍光灯使用時と比べ、約6200万円の経費節減になる計算です。
この取り組みは、公明党の染谷和博市議が2009年9月議会で提案し、積極的に推進してきたものです。
都道府県レベルでは、大阪府の取り組みが有名です。大阪府は、「リース方式による道路照明まるごとLED化」を推進しています。具体的には、「大阪府LED道路照明技術評価制度」による平成23年度認定製品を活用し、府下約23,000灯のうちの約15,000灯について、今夏から開始されているリース契約でLED化を進めていきます。平成24年度認定製品は、平成23年度認定製品とともに約8,000灯のリース契約に活用される予定で、平成25年度末までに全ての道路照明灯をLED化する計画です。
大阪府の説明によれば、リース契約の概要は以下の通りです。
- リース期間は10年間
- 受注者はリース開始までに機器を設置
- 受注者はリース期間中、機器を管理
- 受注者は、機器の不具合を知ったときは、48時間以内に状況確認の上、必要に応じて工事や保守を行う。
- 事故等により照明柱を含む照明灯全体が損傷した場合、及び照明柱を更新する場合は、発注者が工事を行う。
- リース期間終了後は、発注者が機器の取り外しを行い、取り外した機器は受注者が引き取る
リース契約を導入した際のメリットは、設備費・維持経費の削減と省エネルギー効果、CO2削減効果の3点にわたります。
費用削減効果は、岸和田土木事務所での事例を見てみると、1灯あたりの年間リース料が5496円、電気料が約5000円なので、従来のナトリウム灯の維持費と電気料の合計約18000円と比べて4割以上の経費削減効果があります。
省エネとCO2削減効果は、大阪府が管理する道路照明約23000灯のLED化により、消費電力削減効果は年間約1,100万kWh、CO2削減効果は年間約3,200tと推計されています。