5月4日、公明党の石井啓一政調会長は、憲法記念日にあって水戸市と日立市内で街頭演説を行い、憲法改正や集団的自衛権に関する見解を述べました。以下、水戸市内原のイオンショッピングセンター前での街頭演説の概要をご紹介します。
現在、憲法改正国民投票法の改正案が国会で審議されています。すでに与野党8党で内容の合意ができておりますので、この国会で成立することが確実になってきました。憲法の改正には国民投票が必要です。これを実施するための法律が7年前に、ようやく成立しました。しかしいくつかの課題が残され、実際には実行できない状況が続いてきました。今回この課題を解決する国民投票法の改正案が成立する見込みとなってきました。これが成立すれば憲法改正に向けての、具体的な手続きがえる状況になります。これを契機に憲法に関する議論を深めることができるわけです。
憲法の三原則を堅持し、“加憲”の考え方で憲法改正の議論を
公明党といたしましては、国民主権、基本的人権の尊重、そして恒久主義という憲法三原則を堅持したうえで、時代の変化に沿った新しい理念等を条文として付け加えていく“加憲”。憲法を加える加憲というあり方が、最も現実的な憲法改正のあり方だと考えています。
加憲の対象としては、環境権であるとか、地方分権の拡充であるとか、また、憲法9条に関しても現行の第1項戦争の放棄、第2項戦力を持たない、この1項、2項を堅持したうえで自衛隊の存在を明記してはどうか、或いはPKO等の自衛隊の国際貢献を明記したらどうかなどの議論を行わせていただいているところです。いずれにしろ、国民投票法案の改正案を、確実に国会で成立させることから、その上で、現実的な憲法に対する議論を深めてまいりたい考えています。
集団的自衛権の容認には慎重な議論と説明が必要
また、最近ではいわゆる集団的自衛権に関する問題が取上げられています。集団的自衛権と申しますのは、我が国が直接、攻撃を受けていない状況のもとで、我が国に密接に関係する国が武力攻撃を受けた際に、それに対して我が国が武力を持って反撃をする権利であります。国連憲章51条には全ての加盟国が、自分の国が攻撃された場合に反撃する個別的自衛権と集団的自衛権の二つを権利として有するとされています。
我が国に置きましては、戦前の軍国主義の反省から、憲法上、軍事的行為には厳しく制限が加えられています。歴代の政権、政府の自衛権に関する憲法解釈は、日本が直接攻撃を受けた場合にそれに反撃する個別的自衛権は憲法上も許されている。しかし日本が、直接攻撃を受けていないにもかかわらず、他の国を守るために武力行使を行う集団的自衛権までは、現行憲法は容認していない、認めていないというのが従来の政府の憲法解釈であります。
公明党としては、この永年培ってきて国内外にわたって定着している憲法解釈を尊重する立場です。
これに対して、安倍総理大臣の私的な諮問機関である「安保法制懇談会」においては、日本周辺の安全保障環境の変化に応じて、具体的な事例を挙げて検討しながら、集団的自衛権の行使も必要ではないかとの議論が行われているところです。
この5月の連休明けから、安保法制懇の報告書が出され、それをもとに自民党と公明党の与党協議が始まる予定でございます。
公明党としても具体的な事例に即して、我が国としてどう対処すべきか、検討しなければならないと考えています。ただ、現行の憲法解釈の中でやれることが相当ある、はたして集団的自衛権の行使を解禁しなくてはできないのかを厳格に判断、検討していきたいと考えています。
仮に、集団的自衛権の行使を憲法解釈の変更で行うのであれば、これは従来、それをできないと言ってきたこととの整合性をどうとるのか、論理的な整合性が問われます。また何よりも、国民の皆様の理解を得ることが必要となります。さらに日本の近隣国からも懸念を抱かれないよう説明する努力が必要です。このような視点で慎重に検討、協議を進めていきたいと考えています。