自公政権が最重要課題の一つに位置付ける地方創生の取り組みでは、政府が全国の自治体に「地方版総合戦略」の策定を求めています。この戦略では、市町村や都道府県ごとの強みや弱み、他地域との連携などを科学的なデータを元に明らかにする必要があります。
そこで政府は、各地域が、産業・人口・社会インフラなどに関して必要なデータ分析を行い、各地域に即した地域課題を抽出し対処できるよう 「地域経済分析システム」の整備を進めています。
これは、行政区域を超えた企業間取引関係、地域経済を支える「地域中核企業」に求められる要素、観光地における人の動き、現在及び将来の人口構成、人口流入・流出先等に関するビッグデータを活用し、地域の特性を分析できるシステムです。
また、地域経済循環や農業、医療・福祉等、「地方版総合戦略」策定に必要となる他の分野について、検討した上で機能を追加するとともに、まち・ひと・しごと創生本部にてこのシステムの活用に関する研修等を実施し、地方公共団体が策定する「地方版総合戦略」に活用できる体制を整備するとしています。
「地域経済分析システム」を活用することで、自治体がこれまで“経験と勘”に頼ってまとめてきた地域産業の振興策などを、最新のデータ分析によって補強し、さらに新たな視点で拡充することもできるようになります。
このシステムは利用者本位に設計されており、分かりやすい画面操作で誰もが使えます。データは、全体像と細部が「鳥の目、虫の目」で見たように可視化され、また、ある自治体で優れた分析結果が得られた場合、全国の自治体も共有できる構造になっています。さらに、政府や民間のビッグデータが追加され、システム自体も永続的に進化し続けます。
内閣府などの提示された資料によると、産業マップ、観光マップ、人口マップ、市町村比較マップの4つの指標が第一段階として提供されます。例えば産業マップを見ると、地元の企業が他県のどの企業と仕入れ、販売でつながり、影響を受けているかが一目で分かります。
ただし、データ分析だけで現実の政策を磨き上げることはできません。ビッグデータの活用をリードしてきた国立情報学研究所の喜連川優所長は、現場で培われた知識によってデータの意味を深く理解できる人がいなければ効果的なデータ分析はできないと強調しています。自治体の“経験と勘”と、議員の“知識と知恵”があって初めて「地域経済分析システム」の効果的な活用ができるのです。これに地方議員の現場の目を加え、自治体の政策力向上につなげていきたいと思います。
参考:「地域経済分析システム」について(まち・ひと・しごと創生本部)