茨城県では、大規模太陽光発電施設建設に関わる様々な課題が浮かび上がっています。特に深刻なのは自然破壊、景観破壊の問題です。防災上の危険性も指摘され、地域住民との軋轢も深刻です。
つくば市内では、水郷筑波国定公園に指定されている筑波山の特別地域とその隣接地域で、地域住民の納得がないままに、大規模太陽光発電の開発が始められました。建設が計画されているのは区域内3カ所と区域外1カ所。区域内は沼田地区の2カ所と国松地区の1カ所。自然公園法に基づき、伐採や工作物の建造には県の許可が必要ですが、昨年5月、業者は無許可で沼田地区の林約6千平方メートルを伐採、県から文書で注意を受けていました。区域外の沼田地区の計画地は法律の規制はなく、昨年7月末に東京都内の業者が建設工事に着手しました。
昨年9月の関東・東北豪雨で大規模な越水(川の水が増水して堤防を越えること)が起きた常総市若宮戸地区では、堤防の役割を果たしていた丘陵部が、大規模太陽光発電の工事により削り取られたことにより、被害が拡大したと指摘されています。
また、日立市の高鈴台団地では、法的な問題はないといわれていますが、住民への十分な説明がないままに太陽光発電施設の工事が進められ、大きな問題となっています。
太陽光発電施設は、民主党政権下で1万平方メートル以下の開発の場合、経済産業省への届け出のみで工事を行うことができます。この施設の設置を、地元自治体や県が規制することは出来ません。どこに施設が計画されているのかという情報さえ、自治体にも知らされていません。
民主党政権下の数多くの稚拙な政策判断の中でも、最悪の選択がこの電力の固定買い取り制度であったともいえます。
国の制度に瑕疵がある以上、県や市町村は地域と住民を守るために、具体的な行動をとる必要があります。
井手よしひろ県議らは、繰り返し現地調査を行いました。 今年1月8日、環境省と資源エネルギー庁を訪ね、大規模太陽光発電の建設規制について、地域の現状を伝え、①大規模太陽光事業者の情報の公開を地元自治体に速やかに行うこと、②国立公園や国定公園など自然環境を守るべき場所への立地を制限すること、③地元自治体が防災上危険と判断する場所への建設を認めないこと、など3点を強く要望しました。
また、1月15日には、全国で初めて「大規模太陽光発電施設建設に関わるガイドライン」を制定した山梨県を訪れ、ガイドラインの説明を受けるとともに、甲府市内の現状を調査しました。
こうした動きを受けて、つくば市内では1事業者が計画を撤回し、区域内の2事業所については、県が建設許可申請を不許可としました。
3月3日、井手県議は県議会代表質問で、メガソーラー建設を規制するガイドライン整備を強く求めました。橋本知事は、ガイドラインを早急に整備することを表明しました。