文部科学省は、公明党の主張を受け、公立小・中学校の給食の無償化に関する全国調査に乗り出しました。子育て環境の充実に向け、独自に給食費を無料にする自治体が増えているためです。実態を調べ、今年度中に結果をまとめる予定です。成果や課題をつかみ、国としての支援策の検討などに生かす方針です。
文科省によると、2015年5月1日時点で、公立小学校の学校給食費は月平均4301円、公立中学校は4921円です。子どもの貧困などを背景に、学校給食の役割に注目した自治体の間で無償化の動きが広がっており、2016度までに約60自治体が実施しています。
調査では、全市区町村を対象に無償化実施の有無を確認。無償化している自治体については、①補助制度の枠組み、②実施校数と予算額、③実現に至った経緯、④財源確保をはじめ実施前後の課題――などを把握します。
また、給食無償化が児童生徒や保護者、学校にとって、どのようなメリットがあるかも検証します。家計の負担軽減だけでなく、給食費の徴収業務がなくなり教職員の負担が減ったり、人口減少に悩む自治体で子育て世代の移住・定住につながったりする効果の“見える化”をめざします。
文科省は調査結果を踏まえ、自治体に先進事例を紹介するほか、どのような支援が考えられるか検討するための材料にしたい考えです。
今回の調査と同時に、給食費の徴収状況の調査も行われます。公明党の要請を受け、家庭が抱える経済的な問題の把握などに初めて踏み込んだ調査となる見込みです。
公明党は、2017年5月に行った政府に対する政策提言で、全小・中学校における完全給食の実施と、地方自治体における学校給食の無償化支援を掲げました。
国会では、2016年2月25日の衆院予算委員会第4分科会で岡本三成氏が、全国の小・中学生の保護者が負担している給食費の年間総額が約4400億円に上ることに触れ、貧困対策などの観点から「全体として国で払っていくべき金額だ」と無償化を主張しました。一部自治体が独自で無償化に踏み切っていることも挙げ、実態調査の実施を求めました。
さらに2017年4月4日の参院厚生労働委員会で山本香苗さんが、無償化を実施している自治体の補助制度の仕組みや子どもたちへの影響などを調査・分析するよう提案し、文科副大臣から「実施する」との答弁を引き出しました。