１２月２１日、茨城県は県内で発生の可能性がある大規模地震の被害想定を、１９９８年以来２０年ぶりに改定しました。県南部で被害が想定される首都直下地震に加え、新たに県北沿岸部の活断層が起こすマグニチュードＭ７クラスの地震と、茨城県沖から房総半島沖を震源とする津波地震を「特に被害が大きく特徴的な３つの地震」と設定しました。最も被害が甚大なるおそれのある地震を、県北沿岸部の活断層による地震と位置付けました。日立、高萩、北茨城の３市で最大震度７、最悪の場合で死者７３０人、負傷者４５００人、全壊・焼失の建物被害１万４千棟に上ると想定しました。
■想定される７つの地震
（１）県南部の地震※
（２）埼玉県境の地震
（３）Ｆ１断層、北方陸域の断層、塩ノ平地震断層の連動による地震※
（４）棚倉破砕帯東縁断層、同西縁断層の連動による地震
（５）太平洋プレート内の地震（北部）
（６）太平洋プレート内の地震（南部）
（７）県沖から房総半島沖にかけての地震※
（※県が「特に被害が大きく特徴的」とした地震）
県の地震被害想定は、自治体や関係機関の防災対策の基礎資料で、現在の想定は１９９５年の阪神・淡路大震災後に作成されました。今回、東日本大震災の教訓を踏まえた国の中央防災会議専門調査会の提言などを受け、２０１６年に有識者会議を設置し、最新の科学的知見を基に見直し作業を進めてきたものです。
今回、県内に大きな被害をもたらす恐れのある７つの地震を設定し、特に大規模な３つの想定地震を具体的に公表しました。
県北沿岸部は、「Ｆ１断層、北方陸域の断層、塩ノ平地震断層の連動による地震」との呼称。活断層が連動してずれ動いた場合の揺れと最大の被害を想定した結果、「被害は沿岸部に集中し、７つの地震の中で全壊・焼失棟数や死傷者数が最も多い」としました。
茨城県沖から房総半島沖を震源とする想定地震は、鹿行地域を中心とする沿岸部で津波による建物被害、内陸でも地盤の液状化などの被害が多く見込まれるのが特徴。神栖、鹿嶋、潮来、取手など１１市町村が最大震度６強、最悪で死者１００人、建物被害が全壊・焼失１万１千棟と想定しました。
県南部の地震は首都直下地震の一つで、２０年前も想定されていました。前回と比べて被害見込みは減少しましたが、つくば、石岡、稲敷など１２市で最大震度６強、建物の全壊・焼失が県南西部に広く及びます。冬場の午後６時ごろに発生した場合、火災の被害が非常に心配されます。
三つの地震のほか、常陸大宮市で最大震度７を見込む「棚倉破砕帯東縁断層、同西縁断層の連動による地震」、水戸市や東海村、大洗町で最大震度６強の「太平洋プレート内の地震」などが設定されています。
県減災対策検討会議議長の林春男防災科学技術研究所理事長は会見で「この想定通りに地震が起こるとは限らない。正しく賢く、地震を恐れてほしい」と述べました。
参考：茨城県地震被害想定についてhttp://www.pref.ibaraki.jp/bousaikiki/bousaikiki/bousai/higaisoutei/higaisoutei.html
