12月10日、茨城県議会公明党議員会(代表:たかさき進県議会議員)は、茨城県の来年度予算編成に向け「令和2年度茨城県の予算編成に関する政策要望書」を提出しました。県政運営の基本として、持続可能な開発目標「SDGs」に向けた取り組みを加速するため、5大項目246の具体的項目を、大井川和彦知事に要望しました。
政策要望の前文では、「これからも本県の政策展開のすべてに持続可能な開発目標『SDGs』に向けた取組を加速化することを求めます。「持続可能性(サスティナブル)」こそ重要な政策課題です。「多様性(ダイバーシティ)」こそ未来の茨城の実装です。「回復力(レジリエンス)」こそ安心・安全構築の必然です。そして、「誰一人取り残さない」社会の実現こそ私たちの「使命(ミッション)」に他なりません」と記しました。持続可能性、多様性、回復力の3つの要素から、茨城県に「誰も取り残さない」社会の実現をと謳っています。
主な要望として、台風15号被害を踏まえた総合的治水対策の推進▽つくば霞ケ浦りんりんロードの道路環境や宿泊体制の整備促進▽官民学連携での新産業創出など盛り込みました。
「新たな豊かさ」へのチャレンジに関しては、
●茨城県総合計画「新しい茨城への挑戦」第1部・第6節に位置付けられた国連の「2030年持続可能な開発目標(SDGs)」の根幹である「誰ひとり取り残さない」社会を目指して「茨城県づくり」の広範な課題に統合的に取り組むこと。
●企業誘致について1社あたり最大50億円の補助をする「本社機能移転強化促進補助金」を活用して更なる企業誘致活動を強化し、新規雇用確保や設備投資を呼び込みに取り組むこと。成長分野の企業移転には外資系企業に対しても使い勝手の良い補助制度への改定等に取り組むこと。
●「外国人材支援センター」を活用して、特定技能理の習得を支援し、適切な企業就職マッチングを推進すること。外国人人材の支援体制を強化し、多文化共生社会の実現を図ること。
などを求めました。
保健・福祉・医療・介護・教育に関しては、
●本年からスタートした「大人の風しん抗体検査及び予防接種」については、事業スタート時からこれまでに抗体検査を受けた対象者は、1割未満となっており、応対検査を受けた対象者の内、3割以上の方が陰性であったことから早急に予防接種を実施する必要がある。風疹予防についての更なる周知、徹底を図ること。
●障がい者の社会進出を促進するために、障がい者手帳のアプリ化を図ること。
●がん検診の受診率向上を目指すこと。胃がん検診に“ピロリ菌ABCリスク検査”の導入を、市町村に対して強く働きかけること。高校生へのピロリ菌検査導入を検討すること。
●線維筋痛症、脳脊髄液減少症への理解を深め、検査・治療体制の充実を図ること。患者・家族の支援体制を充実させること。
●乳幼児医療費助成制度(マル福制度)を拡充し、18歳未満の児童生徒を全て対象に加えること。市町村の独自事業を支援し、所得制限の撤廃、自己負担の負担軽減を図ること。
●ゼロ歳から2歳児の幼児保育の無償化に向けて、副食費の無償化に取り組むなど低所得者対策、多子家庭支援などを中心に、県独自の推進策に取り組むこと。
●外国人労働者の子弟に対して、プレスクールを設置するなど、的確なカリキュラム策定や、通訳の配置などにより受け入れ態勢の強化を図ること。県として受入れする学校にガイドラインを策定すること。
●高齢者の指導手段として、自動運転サービスの導入やMaaSの実用化などの促進を図ること。
●高齢者ドランバーの運転事故防止対策として急発進制御システムの設置について支援する補助制度に取り組むこと。
などを提案しました。
台風や地震対策などの防災対策では、
●被災者支援に関わる「災害救助法」「被災者生活再建支援法」の見直しを、国に強く求めること。
●市町村の枠組みを超えた広域避難体制の整備や県内すべての市町村の防災タイムラインの作成を支援すること。県民に対して「マイタイムライン」の作成を促すこと。タイムラインの作成に当たっては、農業用水を管理する農業水利組合や市町村との連携強化を図ること。
●局地的な豪雨災害対策として、河川整備は当然のこととして、「流す」という従来の考えに、「ためる」対策、浸水してもその被害を軽減する「備える」対策への発想の転換を取り入れた総合治水対策に取り組むこと。
●ITCを活用した災害時の情報提供システム(スマートメディア・システム)の導入を検討し、市町村の情報発信体制のプラットフォームを提供すること。
●防災士資格取得を支援勧奨し、防災士の育成強化を図ること。防災士をリーダーとする災害対応マニュアルやマイタイムラインの作成などを支援すること。
●AIを活用した洪水リスク予測システムを導入すること。
●県有ダムの底泥を浚渫し貯水能力を向上し、ダムや樋管の運用の最適化に取り組むこと。
●簡易水位計の設置を促進して、洪水予報河川と水位周知河川の越水・決壊早期警戒予防の発信の高度化を図ること。
●ケーブルテレビなど地域メディアを活用して災害情報の発信提供機会の拡大を図ること。
などを求めました。
東海第2原発への対応については、
●東海第2原発の20年運転延長、再稼働問題については、UPZ圏内の人口が約96万人にのぼり、避難計画の策定が難しい現実を踏まえて、再稼働させずに廃炉とするよう、国並びに事業者に働きかけること。
●東海第2原発はたとえ再稼働させなくても、使用済み燃料の保管などのため、安全性確保は必要であり、堤防の嵩上げなどの安全対策を引き続き進めること。過酷事故発生時の避難計画作成も遅滞なく進めること。
●東海第2原発は廃炉とすることも前提に、東海地域の産業構造の転換と活性化策を構想し、早期に具体化すべきである。同時に根幹となる日本原子力発電㈱の業態改変についても国に対して申し入れること。
などと、再稼働に反対する立場から具体的な提言を行いました。
地域の活性化策については、
●「ナショナルサイクルコース」の選定を活用して、グリーンツーリズム・医療ツーリズムなど、地域資源を掘り起こし、日本版DMOを核とする観光地域づくりを促進すること。都心から近接するアクセス性を特色として、関連14市町村の地域おこしの資源として地域資源と連携して開発すること。
●茨城の素晴らしい観光資源を全国に発信するために、SNSを利用した「茨城観光アンバサダー」の認定、推進を図ること。
●パンダ誘致に関して、県の関わりを明確にすると共に、誘致した際の周辺道路や駐車場の整備、更に、県北広域周遊観光ルートの設定を促進すること。
●星野リゾートの提案する偕楽園や千波湖、歴史館などをつなぐ千波湖西側の円形橋(MITORINK)の提案などについては、水戸市民や魅力向上委員会など観光推進団体と協議検討して取り組むこと。
などを要望しました。