Skip to content
ひたみち日記

ひたみち日記

井手よしひろが茨城県日立市からローカルな情報を発信中

Primary Menu
  •  ホーム
  • ご挨拶
  • プロフィール
  • 投稿一覧
  • facebook
  • X.com
  • youtube
  • 地創研
  • ご感想・ご意見
動画配信
  • 日立・十王の話題
  • 私の主張・政策・論文

かみね動物園へのパンダ誘致計画、期待と課題を冷静に考えよう

管理者 2025年4月26日

240423_191217tantan
 茨城県が新たな地域振興策として推進しているジャイアントパンダ誘致。4月17日~20日、茨城県の大井川和彦知事は中国・陝西省を訪問し、友好交流に関する覚書を締結したことは、長年続けてきた誘致活動にとって大きな前進となるものです。しかし、誘致候補地となっている日立市のかみね動物園には、市民から歓迎の声と同時に多くの不安も上がっています。

 パンダ誘致がもたらす経済的なメリットは明らかです。上野動物園で誕生した双子のパンダ「シャオシャオ」「レイレイ」の公開後、関西大学の宮本勝浩名誉教授が試算した経済波及効果は約308億円に及ぶとされます。茨城県も年間約50億円の経済効果を見込み、地域活性化の起爆剤として大きな期待を寄せています。
 実際、日立市でもすでに「パンダフェス」が開催され、市民の間でも誘致実現への機運が高まっています。誘致が叶えば観光客の増加に加え、地域経済の活性化、市民の誇りの醸成など、さまざまなプラス効果が期待できます。さらに、東日本大震災からの復興のシンボルとして仙台市がパンダ誘致活動を進めている例からもわかるように、パンダは地域に希望や明るい未来を与える存在となり得るでしょう。


250426panda02
 一方、かみね動物園の現状を見ると、パンダ誘致に向けて解決すべき重要な課題が山積しています。令和7年度から経常収支改善を理由に実施される月曜休園措置は、「いつでも楽しめる動物園」という従来の理念と相容れず、市民の間に戸惑いを生じさせています。日立市が2021年に策定した「かみね公園活性化計画」の趣旨とも乖離していることは否めません。市民への十分な説明がないままの運営方針転換、さらには長年動物園の発展に尽力した生江信孝園長の退任もあり、今後の動物園運営に対して不安を感じる声も少なくありません。
 さらに、パンダを受け入れるための環境整備も大きな課題です。上野動物園が「パンダのもり」整備に約22億円をかけた事例を見ると、かみね動物園にも相応の投資が必要となります。しかし現在でも動物園周辺の駐車場不足や交通渋滞の問題が深刻であり、この状況下で来園者数が急増すれば、市民生活にも大きな影響を与えかねません。これらの課題解決策が具体的に示されないまま誘致を進めることは、持続可能な動物園運営という視点から疑問を残します。
 また、パンダ誘致の目的はあくまで「ジャイアントパンダの保護と繁殖研究」であり、地域経済活性化を主目的とするべきではありません。繁殖実績を積み重ねてきた和歌山県のアドベンチャーワールドですら、今年6月には最後のパンダを中国に返還することになっています。つまり、パンダを誘致しても長期的な安定性は保証されていないのです。かみね動物園がこれまでパンダの飼育経験や繁殖ノウハウを持っていない現実を直視すると、誘致そのものに慎重な見方を示す専門家もいます。

 大井川知事が進める陝西省との友好交流や覚書締結は、中国側との信頼関係構築において重要であり、誘致実現に向けた大きな前進です。しかし、誘致活動を成功させるには市民の信頼を回復し、運営体制の抜本的な見直しが不可欠です。市民との丁寧な対話を通じて、「動物福祉」「教育普及」「持続可能な運営」といった動物園の本質的な役割を再構築していく必要があります。
 茨城県と日立市は、地域の夢であるパンダ誘致を実現するために、足元の課題を直視し、市民とともに未来を描く必要があります。これからの県と市の取り組みに、引き続き注目していきたいと思います。
250426panda01

大井川知事の記者会見の概要(2025/4/25)
私たち茨城県は、2019年以前から、日立市のかみね公園にジャイアントパンダを誘致する計画を掲げてきました。その年、中国訪問の際に中国対外友好協会から、姉妹省県として陝西省を推薦されました。当時、私はパンダといえば四川省だと思っていましたが、陝西省にもパンダがいることを知り、その提案を受けて交流を進めてきました。しかし、途中で新型コロナウイルスの流行によって交流が一時中断され、なかなか前に進めない状況でした。今回ようやく念願だった覚書の締結が実現し、大変うれしく思っています。
陝西省は、唐など古代中国の歴代王朝が都を置いた地域であり、歴史や文化が非常に豊かな場所です。農業から工業に至るまで産業の多様性もあり、姉妹省県として交流を進めるには理想的な相手だと感じています。これからも陝西省との経済的、人的交流を深め、その先にパンダ誘致を実現したいと考えています。
今回の訪問で、秦嶺四宝科学公園という希少動物の保護施設も視察しました。そこにはチーザイ君という茶色がかったパンダがおり、四川省のパンダとは少し異なるタイプであることを初めて知りました。陝西省ではパンダをはじめトキやキンシコウ、ターキンなどの絶滅危惧種の保護・繁殖に真剣に取り組んでおり、その姿勢に深い感銘を受けました。
現在、和歌山県のアドベンチャーワールドや東京都の上野動物園でもパンダの返還が相次いで報じられており、国内の状況は大きく変化しています。こうした中、茨城県が県を挙げて熱心に中国との交流やパンダ誘致に取り組んでいることこそが、私たちの最大の強みだと思っています。
国際情勢が複雑化する中、陝西省との姉妹省県の覚書締結は中国側にも大きなアピールとなったはずです。今後も日立市を中心にパンダフェスティバルや10月開催の日中友好交流会議などのイベントを活用し、さらなる誘致機運の盛り上げと日中友好の深化を図り、必ずパンダ誘致の実現につなげたいと決意を新たにしています。

小川春樹日立市長の記者会見の概要(2025/4/25)
県が中国陝西省とジャイアントパンダの保護を含めた友好関係の覚書を締結したことを受けて、私としても大変期待を寄せています。日立市としては大井川知事の訪中に合わせて、副市長を派遣し、県としっかりと情報共有を図りました。陝西省にはジャイアントパンダが生息しており、今回の覚書は誘致実現への大きな一歩であると認識しています。
かみね動物園にパンダが来ることで、日立市や県北地域全体の観光が活性化し、観光客の回遊性が高まることを期待しています。福島県をはじめ、周辺の地域からも多くの方にお越しいただけるようになれば、地域活性化の起爆剤になるでしょう。
仙台、秋田、神戸など他都市でもパンダ誘致活動が行われていますので、競争は厳しい状況です。しかし、日立市としては県との連携をさらに強化し、イベントの開催などを通じて、日頃から誘致に対する私たちの熱意を積極的にアピールしていきたいと考えています。

印刷する 🖨
閲覧数 14

Continue Reading

Previous: 【99.8%ショック⑩】特別職給与から見える自治体の意思
Next: ガソリンの暫定税率、ついに廃止へ ~ 公明党の取り組みと負担軽減策の全体像

Related Stories

250605toukai
  • 原発事故・原子力政策
  • 日々の話題
  • 日立・十王の話題

♪ ともれ 明るい原子力 ― 東海第二原発再稼働と東海村の未来を考える

管理者 2025年6月5日
250604chatgpt-image-2-1.jpg
  • 日立・十王の話題

エコフェスひたち2025に出展

管理者 2025年6月4日
250602asa_gohan
  • 日立・十王の話題

93点の朝ごはん──肥満気味で高血圧のIさんの食卓は?

管理者 2025年6月3日



井手よしひろです。 茨城県の県政情報、 地元のローカルな話題を 発信しています。 6期24年にわたり 茨城県議会議員を務めました。
一般社団法人地方創生戦略研究所
https://y-ide.com
master@y-ide.com

2025年6月
月 火 水 木 金 土 日
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  
« 5月    

最近の投稿

  • 6月24日、iPhoneのマイナンバーカードアプリが登場
  • ♪ ともれ 明るい原子力 ― 東海第二原発再稼働と東海村の未来を考える
  • エコフェスひたち2025に出展
  • 93点の朝ごはん──肥満気味で高血圧のIさんの食卓は?
  • 「災害対応車両登録制度」2025年6月1日スタート

アーカイブ

カテゴリー

  • 茨城県の取組「ここがすごい!」(第2次茨城県総合計画~主要指標等実績一覧~)
    2025年6月2日
  • 知事定例記者会見(令和7年5月28日)
    2025年5月28日
  • 野鳥における高病原性鳥インフルエンザについて
    2025年5月15日
  • 救急搬送における選定療養費の徴収開始について
    2025年4月9日
  • 【CHALLENGE IBARAKI】#72「簡単&便利!茨城空港」
    2025年2月1日
  • “公明党「平和創出ビジョン」” 北東アジア対話・協力機構の創設は各国の信頼醸成に有効
  • 政府備蓄米 全国の小売店に早く
  • 【主張】水産物の中国輸出 早期の全面再開へ一段と努力を
  • コラム「北斗七星」
  • 公明、骨太方針巡り提言
このホームページ(Blog)へのリンクは自由に行ってください。
文章の引用等も自由です。
ただし、リンクや引用等によって生じた不利益に対して、管理者はその責任を負いかねますので、ご容赦ください。
Copyright © All rights reserved. | MoreNews by AF themes.