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少人数学級を考えよう – 茨城県総和町の試み

管理者 1999年4月10日
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茨城県総和町の少人数学級編成への試み

茨城県議会議員 井 手 よしひろ

 茨城県の県西部にある総和町では99年4月より、町立の中学校にチーム・ティーチング方式を導入しました。
 これは、少人数学級への試みとして全国的にも注目されています。
 このページでは、チーム・ティーチング方式導入の経過をまとめてみました。

98年9月29日:28人学級を町長が提案

 茨城県の西部にある総和町の菅谷憲一郎町長は、9月29日、町立中学校の学級定数を現行の40人から28人に減らす方向で検討していることを町議会全員協議会で明らかにしました。

 菅谷町長によると、28人学級は学校関係者からの強い要望を受けて1年前から検討し、文部大臣の諮問機関である中央教育審議会が98年9月「学級編成の基準を都道府県の裁量にゆだねる」ことなどを求める答申を行ったのを受けて町教委に検討を指示した。菅谷町長は「少人数学級は、生徒に目が届きやすく、心身の安定、学力の向上になる。生徒と教師との信頼関係も増す」と説明しました。町教委によると、町立の3中学校で来春、28人学級を導入すると現在の49学級が17増えて66学級になる。これにより教員を26人増員する必要があり、年間約1億3000万円の財政措置を取るとしました。人件費を全額町が負担とするという考えです。余裕教室を利用するため校舎の増築はしないとのことでした。

 そもそも現行の制度では、学級定数は「公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律」で40人が標準と定められています。市町村が独自で学級定員を決めることは事実上不可能なのですが、菅谷町長は「法律の40人定員は財政面から決めた数で、町が財政負担するのだから法に触れる根拠はないはず」との見解を示しました。

11月6日:28人学級を断念、T.T方式を検討

 町の教育委員会は、10月上旬に、県教育庁に28人学級の実現に関して相談しました。義務教育課は「現行法では市町村独自に定数を決めることは出来ない」などとして、同町教委に導入断念を指導しました。

 28人学級の実現が不可能となった総和町では、複数担当教諭制チーム・ティーチング方式の採用を検討しました。そして、総和町立の三つの中学校での少人数学級編成について協議していた同町の検討委員会(委員長・菅谷憲一郎町長)は、11月6日までに、実質的に少人数授業が行えるチーム・ティーチング方式を99年4月から導入する方針を決定しました。

 町教委の考え方は、チーム・ティーチング方式は40人学級はそのままにして、授業時だけ学級を二つに分けるか、1学級に教員を2人配置する方法で、実質的に20人以下の少人数授業を実現させる方式を採用するとのものでした。数学、英語、理科、社会の4教科は全授業で完全導入し、国語は一部導入するとされました。

 チーム・ティーチングの導入に伴い、3中学校で39人の教員補充が必要で、町はこの要員を非常勤講師として独自採用することを決めました。給与などの町の負担は年間1億2000万円と試算し、年内にも募集を始める事を公表しました。

12月15日:町議会に条例提案

 こうした考え方を菅谷町長は、12月15日、具体的な条例案としてまとめ、「町教育活動指導員設置条例案」を町議会に提出しました。

 条例案を審議した町議会文教常任委員会では、「町の財政事情は厳しい。四教科でなく、二、三教科で実施すべきだ」とする意見が多く出されました。このため、菅谷町長は議会での条例案可決が難しいとして、実施方針を再検討し提案し直すことにしました。

 菅谷町長は「何としても新年度からチーム・ティーチングをスタートさせたい。町教委の意見も踏まえて、導入する教科と非常勤講師の数を減らした形で実施する方向で、条例案を一月の臨時議会に再提案したい。その後、段階的に増やしていきたい」として、議会最終日の12月25日、「諸般の事情」を理由に提案を撤回しました。

99年1月22日:T.Tの採用教科を4教科から2教科に減らし再提案

 年が明けて99年1月22日、臨時町議会が開かれ、「町教育活動指導員設置条例」が再提案されました。その案によると、チーム・ティーチング方式を導入する教科を四教科から「数学と理科」の二教科に減らしました。

 しかし、議会の審議では「理科より英語を優先すべきではないか」とする町議も多く、議員提案で、導入教科名を明記せずに「二教科」とする修正案が提出され、可決されました。

英語と数学にT.T導入を決定

 このため、町教委は数学とともに、英語と理科のどちらに同方式を導入するかを一月中に決め、これに応じて非常勤教員を募集・採用し、四月から実施することにしました。可決された条例によると、非常勤教員は一日6時間、週30時間の勤務で、報酬は月額24万円とされ、20名を採用する。チーム・ティーチング方式の導入に伴う町の負担は、99年度で年間約7000万円になる予定です。

 町の教育委員会では一月中に導入する教科を「数学」と「英語」の二教科と決め、非常勤教員の募集、採用試験を行いました。その結果、採用が決まったのは数学10人、英語9人の計19人となりました。合格発表後に採用辞退者が出たため、後任が決まるまで数学が1人欠員の状態でスタートすることになりました。

 実際の授業形態は各中学校に任せている方針で、当面、学級はそのままに一つの教室で県採用教員と2人で授業を行う協力型の授業が行われことになりました。今後の状況に応じて学級を分けて少人数授業を行うか検討していくことになりました。

 こうした経緯を経て、総和町のチーム・ティーチングは、99年4月の新学期とともにスタートしました。

このページは、茨城県議会井手よしひろの公式ホームページのアーカイブ(記録保管庫)の一部です。すでに最終更新から10年以上経過しており、現在の社会状況などと内容が一致しない場合があるかもしれません。その点をご了解下さい。
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井手よしひろです。 茨城県の県政情報、 地元のローカルな話題を 発信しています。 6期24年にわたり 茨城県議会議員を務めました。
一般社団法人地方創生戦略研究所
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