厚生労働省では、「痴呆」という用語には侮蔑的な意味合いが含まれていることから、これに替わる用語を検討しています。具体的には6月に、「『痴呆』に替わる用語に関する検討会」(座長=高久史麿氏)を設置し、検討を進めています。
第2回検討会では、認知症・認知障害・もの忘れ症・記憶症・記憶障害・アルツハイマー(症)との6つが例示され、パブリックコメントを募集することになりました。
<参考リンク>厚生労働省の「痴呆」に替わる用語に関するご意見の募集について
<参考リンク>第2回「痴呆」に替わる用語に関する検討会
厚生労働省補ホームページでは、『痴呆』という用語の変更の必要性を、3点から指摘しています。
①高齢者の尊厳に欠く表現であること。
「痴」には「おろかなこと、ばか」という意味があり、また、「呆」には「おろかなこと、あきれる、あっけにとられる」という意味がある。「痴呆」という用語そのものは、「あほう」という意味から由来しており、「痴呆」と呼ばれる高齢者に対する尊厳やいたわりを欠く表現である。
また、当事者本人や家族にとっては苦痛を感じたり、より一層不安にさせられる表現である。
さらに、介護の現場においては、本人なりの生活の仕方や潜在する能力を極力大切にし、本人の人格を尊重してその人らしさを支えることを基本とする方向で取り組みが進んできており、こうした新しい「痴呆ケア」の基本的な理念になじまない表現である。
②「痴呆」の状態や症状について、誤解を招く表現であること。
「痴呆」という用語は、「痴呆」になると「なにもわからない」、「なにもできない」状態になるという誤解を生じさせる一因となっている。こうした誤解があるために、本人が抱いている不安や焦りの気持ちを周囲が理解することの妨げとなっており、本人ができることまで周囲がやってしまい本人の能力を更に低下させることにつながっている。
③痴呆の診断や予防が進みにくいという弊害があること。
「痴呆」という用語は、「痴呆」と判断されることに対する恐怖心や恥ずかしさを感じさせ、このことが痴呆の早期診断や痴呆予防教室への参加が進まない一因となっている。
「痴」には「おろかなこと、ばか」という意味があり、また、「呆」には「おろかなこと、あきれる、あっけにとられる」という意味がある。「痴呆」という用語そのものは、「あほう」という意味から由来しており、「痴呆」と呼ばれる高齢者に対する尊厳やいたわりを欠く表現である。
また、当事者本人や家族にとっては苦痛を感じたり、より一層不安にさせられる表現である。
さらに、介護の現場においては、本人なりの生活の仕方や潜在する能力を極力大切にし、本人の人格を尊重してその人らしさを支えることを基本とする方向で取り組みが進んできており、こうした新しい「痴呆ケア」の基本的な理念になじまない表現である。
②「痴呆」の状態や症状について、誤解を招く表現であること。
「痴呆」という用語は、「痴呆」になると「なにもわからない」、「なにもできない」状態になるという誤解を生じさせる一因となっている。こうした誤解があるために、本人が抱いている不安や焦りの気持ちを周囲が理解することの妨げとなっており、本人ができることまで周囲がやってしまい本人の能力を更に低下させることにつながっている。
③痴呆の診断や予防が進みにくいという弊害があること。
「痴呆」という用語は、「痴呆」と判断されることに対する恐怖心や恥ずかしさを感じさせ、このことが痴呆の早期診断や痴呆予防教室への参加が進まない一因となっている。
その上で、「痴呆」に替わる用語としては、①不快感や侮蔑感を感じさせたり、気持ちを暗くさせたりしないこと、②一般の人々にわかりやすく、できれば短いこと、③「痴呆」と同一の概念を表わすものであることについて疑義を生じさせず、混乱なく通用すること、という3つの要件を満たすことを前提に検討されています。
現在、検討会での議論を踏まえ、「痴呆」に替わる新しい用語として6つの候補を例示し、9月13日から10月29日までの間、厚生労働省のホームページなどを通じて広く国民や関係団体等に対してパブリックコメントを行っています。
「認知症」:痴呆の本質を端的に表現すると、「認知障害により、社会生活や職業上の機能に支障をきたす状態・症状」ということになり、こうした痴呆の本質に着目した用語であり、症状や生活障害の多様性を含意しています。「症」の字を用いることにより、痴呆が単なる加齢現象ではなく病気の一種であることも表現できるという考え方によるものです。
「認知障害」:「認知症」と同様に痴呆の本質(認知障害)に着目した用語で、認知機能が低下した状況をとらえて「障害」と表現しています。
「もの忘れ症」:痴呆の本質は認知障害ですが、その際に記憶障害を必ず伴うことを特徴としており、この点に着目した用語です。記憶機能が低下することを和語を用いて表現したものです。「症」の字を用いることで痴呆が病気であることも表現されています。
「記憶症」:「もの忘れ症」と同様に、痴呆症状の特徴(記憶障害を必ず伴うこと)に着目した用語で、「記憶」をそのまま使用し、「症」の字を用いることにより、痴呆が病気であることも表現しています。
「記憶障害」:「もの忘れ症」と同様に、痴呆症状の特徴(記憶障害を必ず伴うこと)に着目した用語で、「記憶」をそのまま使用し、記憶機能が低下した状況をとらえて、「障害」と表現しています。
「アルツハイマー(症)」:痴呆は、その原因によっていくつかのタイプに分類できますが、最も多いタイプは「アルツハイマー型痴呆」です。「アルツハイマー」とは、この病気を発見・報告したドイツの学者の名前であり、この人名をそのまま用語として用いています。
国際的にも通用しやすく、語尾に「症」をつける案もありうるとされています。