幻覚や興奮、陶酔など麻薬に似た作用がありながら法律の網にかからない「脱法ドラッグ」を規制するため、東京都は4月1日から「東京都薬物の濫用防止に関する条例」を施行しました。6月からは製造や販売、授与などの違反者に罰則を実施します。都議会公明党が推進してきたもので、脱法ドラッグを規制する条例は全国で初めてです。
脱法ドラッグは、意識障害や依存症など麻薬と同様の健康被害を与える薬物の総称で、口から摂取するタイプや鼻腔から吸入するタイプなどさまざまな種類があります。麻薬と成分が違うことから、薬の化学構造で禁止薬物を指定する麻薬取締法では取り締まることができません。
それだけでなく、販売者が「飲み物や食べ物ではない」と言い張って薬事法などの適用を免れるなど、巧みに法の網をかいくぐり、繁華街の路上や若者が出入りする「クラブ」、インターネットなどで容易に売買されています。中高生が手を染めるケースも急増し、さらには凶悪犯罪の誘発、覚せい剤や大麻などの麻薬乱用への発展が懸念されています。
条例では、健康被害の恐れがある脱法ドラッグについて、含有成分を分析し、科学的根拠に基づき「知事指定薬物」に指定。その上で、指定薬物を製造・栽培したり、販売・授与する行為を取り締まり、罰則として1年以下の懲役または50万円の罰金(東京都に告発された場合は2年以下の懲役または100万円以下の罰金)を科すことになります。
指定薬物をみだりに使用する行為や、使用目的で所持する行為、使用場所を提供・あっせんする行為については、都や警察が指導。また、都職員に販売者などへの立ち入り調査権を与える規定を設けたほか、指定薬物に指定する前でも販売中止などを勧告できる緊急対応も可能としました。
(公明新聞2005/4/4の記事を参考にしました)
参考:危ないドラッグ<東京都の脱法ドラッグ対策>