認知症のお年寄りに多額のリフォームを行わせた事件を契機に、「成年後見制度」の窓口整備が喫緊の課題とされていました。成年後見制度とは、認知症や知的障害、精神障害などの理由で判断力が不十分な人に代わって、不動産や預貯金など財産管理やモノやサービスの購入の契約などを「成年後見人」が行う制度です。本人や家族らの申し立てによって、家庭裁判所が選ぶ「法定後見制度」と、あらかじめ本人が選んでおく「任意後見制度」があります。
厚生労働省は、改正介護保険法の成立に伴って各市町村に新設される「地域包括支援センター」に、「成年後見制度」の窓口を置くことを決めました。お年寄りやその家族が来訪すれば、制度について説明してくれたり、手続きの相談に乗ってくれたりします。「地域包括支援センター」には、必ず配置される社会福祉士を中心に、各自治体や弁護士会などと連携し、相談の受け付けや手続き方法の助言をすることになりました。
全国の認知症のお年寄りは169万人と推定されています。最高裁判所の調べでは、全国の家庭裁判所への成年後見の申し立ては03年度で前年度比13%増の1万7086件にとどまっています。一方、国民生活センターによると、認知症のお年寄りら判断力の不十分な人が契約をしてしまったとの相談が03年度だけで約1万件も寄せられています。