被害者に医療費、一時金支給:政府
政府は9月29日、アスベスト(石綿)健康被害問題の関係閣僚会議を首相官邸で開き、被害者救済の基本的枠組みを決定しました。アスベスト問題に関する過去の行政対応の検証で、「関係省庁間の連携が必ずしも十分でなかった」と反省点を挙げ、連携を強化するため実務者級の「有害化学物質に関する関係省庁連絡会議」(仮称)の早期設置を打ち出しました。
基本的枠組みは、被害者をすき間なく救済する仕組みを打ち出し、対象者をアスベストが原因の中皮腫(がんの一種)、肺がんの患者と死亡者の遺族と規定。石綿関連工場の従業員家族や周辺住民らを想定し、認定基準は専門家を交えて検討します。患者や遺族には医療費や一時金などを支給。申請窓口は保健所を検討しています。
救済財源は「石綿による健康被害に関係する事業者」に負担を求めるとし、原因企業が拠出することを明記しました。事業者の範囲や国庫負担、地方自治体への負担要請については、今後の課題となります。
一方、労災の申請期限=5年を過ぎた従業員は労災補償に準じた措置を講じ、遺族年金などを給付することになります。政府は今後、救済財源確保の具体策や給付金の水準などの詳細を詰めて次回閣僚会議に提示し、平成18年の通常国会に法案を提出します。
アスベスト対策について公明党は、7月12日の対策本部設置以来、緊急視察や患者・家族からの聞き取り調査など精力的に活動してきました。7月25日には、健康被害を受けた対象者の包括的な救済に向けて、立法措置も視野に万全の対策を講じるよう小泉純一郎首相あてに申し入れを行うとともに、対策本部の会合を通して関係各省に対策を要請するなど、積極的にアスベスト対策に当たってきました。