2025年5月26日から、戸籍の氏名に「フリガナ」を記載する制度が始まります。
これは、2022年に改正された戸籍法に基づくもので、行政のデジタル化を背景とした全国的な取り組みです。新しく出生届を出す赤ちゃんだけでなく、すでに戸籍を持っているすべての方が対象となる、大きな制度改正です。
これまで戸籍には、漢字で氏名が記載されていても、その読み方は正式には記されていませんでした。そのため、行政手続きや本人確認の場面で誤読や照合ミスが生じることも少なくありませんでした。特に、マイナンバーカードにはフリガナが記載されておらず、金融機関のカタカナ表記との整合が取りづらいといった課題がありました。
今回の制度改正によって、戸籍にフリガナが記載されることで、マイナンバーとのデータ連携や本人確認が格段にスムーズになり、給付金の支給や各種行政サービスの迅速化が期待されています。
制度開始に伴い、全国の自治体から順次、各世帯にフリガナが記載された確認通知が届きます。この通知には、自治体が過去の出生届や住民票などの情報に基づいて推定したフリガナが記載されています。通知を受け取ったら、必ずご自身の氏名のフリガナが正しいかどうかをご確認ください。
もし誤りがあった場合は、通知から1年以内に役所の窓口や郵送、あるいはマイナポータルから正しいフリガナを届け出る必要があります。逆に、正しいフリガナであれば特に手続きは不要で、そのまま戸籍に反映されます。
また、この運用開始と同時に、新たな出生届に記載される氏名のフリガナについても、漢字と読みの関係性を審査する仕組みが導入されます。たとえば、「桜良(さら)」や「彩夢(ゆめ)」といった、漢字の意味や音から理解できる読み方は認められますが、「太郎(ジョージ)」や「健(ケンサマ)」など、関連性が見られない読み方は認められません。社会的な混乱を防ぐためにも、フリガナの妥当性は一定の基準に基づき、自治体が審査を行うことになります。
法務省では6月26日から、制度に関する不明点や相談に対応する専用のコールセンター(0570-05-0310)も開設します。受付時間は平日の午前8時30分から午後5時15分までとなっています。
このフリガナの制度は、個人の名前の確認を確かなものにし、行政サービスの質とスピードを向上させるための、大きな第一歩です。ご自身のフリガナが正確に記録されているかどうか、この機会にぜひご家族と一緒に確認してみてください。そして、すべての人が安心してデジタル社会に参加できるよう、制度への理解と協力を深めてまいりましょう。