市町村に立入り調査権、発見者には通報義務
高齢者の権利を擁護するため、虐待防止と養護者支援の両面を盛り込んだ「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(高齢者虐待防止法)が、11月1日の参院本会議で成立しました。この法律は、2006年4月1日に施行されます。
高齢者虐待防止法は、自民、公明、民主の3党の共同提案で提出される予定でしたが、自民党内の了承が得られず、いったんは今国会での法案提出そのものが見送られそうになりました。しかし、公明党の強い申し入れによって自民党内で修正案がまとまり、3党の合意のもと、衆院厚生労働委員長提案の形で、国会に提出された経緯があります。
高齢者虐待防止法では、身体的虐待や養護の放棄、心理的虐待、性的虐待、財産の無断使用を虐待として定義しています。虐待により、高齢者の生命や身体に重大な危険が生じている場合、市町村長に自宅などへの立ち入り調査を認めるほか、そうした高齢者を発見した施設職員らには、市町村への通報を義務付けています。
また、養護者に対する支援では、養護者への相談や助言を行うほか、養護者の負担軽減を図る緊急措置として、高齢者を短期間養護するための居室を確保することにしています。
公明党は、高齢者虐待の問題に、いち早く取り組み、2003年の衆院選で掲げたマニフェストで、高齢者虐待防止法の制定を提唱しました。04年2月には、浜四津敏子代表代行らが当時の坂口力厚生労働相に法整備の遅れを指摘するとともに、虐待防止に向けた取り組みの強化を申し入れしました。04年3月には党内に「高齢者虐待防止対策ワーキングチーム」を設置し、法整備に向け本格的な作業を開始しまいっした。虐待防止団体の視察や専門家からのヒアリングを重ね、公明党が他党に先駆けて取りまとめた要綱案を基に自民党に呼び掛けて、05年3月に与党プロジェクトチームを発足させ、法案をまとめ上げました。