政府は、平成19年3月9日、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律案」を閣議決定し、国会に提出しました。
同法案は、総務省に設置された新しい地方財政再生制度研究会(宮脇淳座長)が取りまとめた報告書を受けて、現行の財政再建団体制度(地方財政再建促進特別措置法)に代わる新たな地方公共団体の再生制度を法制化したもので、地方公共団体の各会計の赤字比率を捉えるフロー指標と、公社・第3セクターを含めた実質的負債を捉えるストック指標を新たに導入し、地方公共団体の財政状況を的確に把握するとともに、財政が悪化した団体に対して「早期健全化」と「再生」の2段階の手続きによって財政再建を促すものです。
法案では、現行制度では「実質赤字比率」(フロー指標)のみだった健全化判断比率を①「実質赤字比率」(フロー指標)、②「連結実質赤字比率」(フロー指標)、③「実質公債費比率」(フロー指標)、④「将来負担比率」(ストック指標)の4指標に拡大し、地方公共団体は、これら指標を監査委員の審査に付したうえで、議会に報告し公表する義務を負います。
これら4指標のうち、ひとつでも早期健全化基準を超過した地方公共団体は、自主的な改善努力による早期健全化を図るため、「財政健全化計画」を議会の議決をもって定め、これを公表しなければなりません。
更に財政が悪化し、再生判断比率(上記④「将来負担比率」以外の3フロー指標)のうち、いずれかが財政再生基準を超過した地方公共団体は、国等の関与による確実な財政再生を目指し、「財政再生計画」を議会の議決をもって定め、これを公表するとともに、毎年度、計画の実施状況を議会に報告し、公表しなければなりません。
この財政再生団体は、財政再生計画に総務大臣の同意を得なければ、地方債(災害復旧事業債を除く)を起債することができず、一方、財政再生計画の同意を得た財政再生団体は、総務大臣の許可を受けて収支不足を振替えるための「再生振替特例債」を起債することができるようになります。
また、地方公営企業についても「資金不足比率」を公表し、これが経営健全化基準を超過した場合に、「経営健全化計画」を策定するなど、早期健全化に準ずる仕組みを設けることにしています。
この税制健全化法は、平成19年度決算数値から財政状況の判断指標が公表されることになっています。財政健全化団体・再生団体の措置がなされる基準となる平成20年度の予算編成は、目前に迫ってきています。財政健全化法への自治体、議会の対応は、もう待ったなしの状況です。