7月6日、2009年の開港を目指して建設が進んでいる茨城空港(航空自衛隊百里飛行場民間供用化空港)の利用促進策を検討する茨城空港利用促進懇話会が開催されました。今回の会合には、初めて日本航空と全日本空輸の担当者が参加し、空港利用の可能性について話し合いました。
羽田空港などの発着枠が10年に拡大する予定なのを前提にした話し合いの中で、09年度末開港予定の茨城空港への就航について、日本航空の笹川明義経営企画室部長は「今は羽田、成田で精いっぱい。まだ茨城空港については何とも申し上げられない」と述べました。また、全日空の高田直人調査室長は「客がいると分かればすぐに判断できるが、羽田路線が茨城の場合はないので、他の地方空港とどう結ぶかということになる」として、路線就航に対しては明言を避けました。
一方では「着陸料やターミナル使用料を大幅に下げてくれるのなら、我々だけでなく海外からも飛んでくると思う」といった意見も出されました。
いずれにせよ他の空港にない特徴(特に空港利用コストの削減)なしには、茨城空港に就航する航空会社はないという意見が明確になった会合でした。
「就航路線の明確化を」
茨城空港利用促進懇話会が初会合
常陽新聞(2007/7/7)
2007年度第1回茨城空港利用促進懇話会(会長・石田東生筑波大学大学院教授)が6日、水戸市のホテルテラスザガーデン水戸で開かれ、委員からは09年度の開港が確実視されながら、いまだ就航会社も就航路線も不透明なことから、具体的な対応を模索する上で見通しのきかない論議に苛立ちの声が上がった。一方、航空会社からは「着陸料や空港ターミナル利用料などコストが大幅に下がれば格安航空会社も含め(就航を)検討できるだろう。他の空港に負けないインセンティブを考えてほしい」といった声も出た。
意見交換では利用者や行政側から「利用促進のための戦略について議論すべき。他の空港との差別化に向けて何を選択するか、学習しておく必要がある」(塩畑英成・日通総合研究所顧問)、「国や国会議員に要請行動を続けており、空港を訪れようとする人々に、より魅力を感じて利用いただけるよう行動する必要がある」(島田穣一・小美玉市長)、「地元の空港としてアイデンティティーがなければいけない。①提供できるサービス内容②地元から愛される空港実現への展開③PR手法―の3本柱を決めて戦略構築を」(香川眞流通経済大学教授)、「(航空会社など)投資する側のリスクをいかに減らせるか、努力、協力したい」(中島由貴国土交通省鹿島港湾・空港整備事務所長)などの声。
一方、航空会社からは「いかに高頻度で稼ぐかが航空会社の課題。国内線の利用頻度を上げて、さらに集中させるため、現時点では羽田空港の再拡張への対応で手一杯。いかに安く利用できるか、(航空会社が)コストを下げられるよう検討をしてほしい」(笹川明義・日本航空経営企画室部長)、「利用者がいるかどうか不透明の中、どこへ飛ぶかは言えない。着陸料やターミナル施設使用料など大幅に下がれば格安航空会社なども就航の検討ができる。他に負けないインセンティブを考えてほしい」(高田直人・全日本空輸調査室長)などの声が出た。
懇話会では、同空港の整備状況をはじめ、昨年度取り組んだ愛称公募や、開港後の利用促進に向けて旅行代理店担当者を招いて行った広域観桜ルートモニターツアー、空港周辺約160カ所に設ける予定の道路誘導案内標識(交通アクセスサイン)計画などを県が報告。
今年度は航空関係の大規模イベントの誘致検討を進め、親しまれる空港に向けたイメージづくりに取り組むほか、航空会社の参入条件の検討や就航要請、小型ジェットや国際チャーター便、ビジネスジェット、格安航空会社(ローコストキャリア)など多面的な空港利用の検討も進めると説明した。