茨城県取手市は、新たにトイレトラックを県内で初めて導入しました。5月22日、取手市役所を訪れ、中村修市長をはじめ、担当部署の皆さまから丁寧なご説明をいただきました。
このトイレトラックの導入は、災害時における衛生環境の確保と、誰もが安心して利用できる避難所づくりに向けた、非常に先進的な取り組みの一つです。
取手市は「一般社団法人助けあいジャパン」との協定を締結。災害時にトイレトラック・トイレトレーラーを迅速に派遣するための連携協定で、現在全国32の自治体が参加しています。今年度末には50自治体まで拡大する予定で、広域連携の仕組みとして非常に重要です。
このネットワークは、災害が発生した際に、事務局を務める「助けあいジャパン」が、被災地からの要請を取りまとめ、加盟自治体の保有するトイレトラック・トイレトレーラーを被災地に派遣する仕組みです。令和6年能登半島地震では、発災からわずか3日後の1月4日に、被災地の能登町での運用が開始されました。このスピード感こそが、命と尊厳を守る災害対応に不可欠です。
取手市が導入したトイレトラックは、車体の長さが6.98メートル、幅2.23メートル、高さ3.24メートルというサイズで、展開時には横幅5.7メートル程度が必要となります。内部には5つの個室が設けられ、すべて洋式便器が設置されています。温水洗浄便座、洗面台、換気扇、暖房も完備されており、まさに“快適なトイレ空間”が実現されています。
さらに、多目的トイレには電動車いすリフターが備えられ、車いすやベビーカーを利用する方も無理なく使用できる仕様です。オストメイト対応設備、オムツ交換台、ベビーキープもあり、あらゆる世代・状況に対応できる心遣いが感じられました。
夜間も安心して利用できるよう、室内灯や外灯が設置され、暗闇の中でも安全に使用できます。また、トイレトレーラーの屋根にはソーラーパネルが取り付けられており、発電した電力はリチウムバッテリーに蓄電され、満充電であれば24時間照明や換気設備を稼働させることが可能です。
汚水や排水に関しても十分な配慮がなされています。浄水用のタンクは760リットル、汚物タンクは160リットルの容量があり、1回の給排水で最大約1300回の使用が可能とされており、実用性にも優れています。
災害はいつどこで発生するか分かりません。特にトイレ環境の悪化は、被災者の健康や心身の安定に直結します。取手市が導入したこのトイレトレーラーは、「みんなが元気になれるトイレ」として、日常の延長にある避難生活を支える重要な存在になると感じました。
今後、こうしたトイレトレーラーがさらに多くの自治体で導入され、ネットワークとして災害対応力が高まることを強く期待しています。茨城県初の導入となった取手市の取り組みに敬意を表するとともに、防災・減災の一助となるべく、トイレトラック・トイレトレーラの普及拡大に努力してまいります。