11月3日、民主党で「次の内閣」の経済産業大臣を務める増子輝彦参院議員(福島選挙区)が、経産省から昨年(2007年)8月に業務停止命令を受けたインターネット機器販売会社「ユナイテッド・パワー」の監査役を務めていたことが明らかになりました。
増子議員は「長年の友人から依頼され就任したが、業務停止命令の後に辞任した。産経省への指示や同社への便宜を図ったことはない」としと釈明しています。
増子議員の説明によると、監査役に就いたのは、福島2区から出馬し落選した2005年9月の衆院選後の12月。月額報酬は20万円で、昨年(2007年)12月まで2年間務めました。
増子議員は昨年(2007年)4月、参院補欠選挙で当選。9月に民主党の「次の内閣」経産大臣に就任しました。
経産省などによると、ユナイテッド社は2000年2月に設立され、いわゆるマルチ商法の連鎖販売取引でインターネット端末機を販売。「絶対にもうかる」などと端末機を購入させていたとして、昨年(2007年)8月に同省から特定商取引法違反で半年間の業務停止命令を受けました。
参議院議員であり、党の主要な役職を持った人物が、業務停止を受けるまで役員としての報酬を受けていたことになります。
増子議員は、ユナイテッド社からの報酬500万円のうち、営業停止期間の80万円しか返却に応じていません。「次の内閣」経産大臣も辞任しないとしています。
一方、政治資金収支報告書によると、ユナイテッド社は2005年5月と2006年6月に民主党のパーティー券を、何と150万円ずつ計300万円分も購入していました。増子議員がパーティーを紹介したとされ、民主党は外部から指摘を受け、今年(2008年)3月に全額返還したています。
民主党をめぐっては、山岡賢次国対委員長らがマルチ商法業界から献金を受けていたことが発覚。先月(10月)、国会で業界擁護の質問を繰り返していた前田雄吉衆院議員(比例東海ブロック)が離党する醜態を晒しています。
増子輝彦議員とユナイテッド・パワーの関係
朝日新聞(2008/11/4)
民主党「次の内閣」(ネクストキャビネット)で経済産業大臣を務める増子輝彦参院議員(61)=福島選挙区=が、マルチ商法に絡んで経産省から昨夏に業務停止命令の処分を受けたインターネット機器販売「ユナイテッド・パワー」(東京都新宿区)の監査役に就き、月20万円の報酬を得ていたことがわかった。増子議員は処分後、監査役を辞任した。朝日新聞の取材に「社長は30年来の友人。どのような営業をしているかは処分を受けるまで知らなかった」と話している。
また、増子議員の紹介でユナイテッド社が05年5月と06年5月に都内であった民主党のパーティー券150万円ずつ、計300万円分を購入していたこともわかった。同党は今年3月、外部から不適切だとの指摘を受け、全額を返したという。
経産省によると、ユナイテッド社のシステムは、端末機の購入者が代理店となり、新たな代理店を獲得すれば利益が得られる仕組みだった。同社の勧誘者は「絶対にもうかる」「最初に契約した50万円のもとがとれる」などと虚偽の説明をしたとされる。代理店の大半が赤字だったという。同省は07年8月、特定商取引法に基づき、連鎖販売の新規契約や勧誘を半年間禁じる業務停止命令を出した。
増子議員によると、監査役になったのは、解散まで衆院議員だった05年9月の総選挙で落選した直後の同年12月。以降、07年12月までの2年間務め、報酬は月20万円だったという。07年4月に参院補選に当選。ユナイテッド社が処分を受けた後の同9月にネクスト経産大臣に就任した。
会社法によると、監査役は株式会社の業務や財産の状況を調査でき、法令違反や不当な事実がある場合は取締役への報告義務がある。増子議員は「監査役会には出席していたが、あくまで資産の部分のチェックだった。処分後、社長から『迷惑がかかる』と退任を求められたので辞めた」と話した。
民主党は結果的に、経産大臣の命令で業務停止中だったマルチ商法業者の監査役を「次の経産大臣」に任命。処分期間中である07年9~12月の3カ月余の間、マルチ商法業者の監査役と監督官庁のネクスト大臣を兼務させ続けていた格好だ。
民主党では先月、前田雄吉衆院議員(48)=離党=がマルチ商法業者から金銭を受け取り、業界擁護の国会質問をしていたことが発覚。国対委員長の山岡賢次衆院議員(65)が会長を務めた業界支援の議員連盟が、広報誌の中でマルチ商法に注意を呼びかけた社会福祉協議会に抗議したことも明らかになっている。
ユナイテッド社には、三菱東京UFJ銀行が融資して一部が焦げ付いており、同行は「問題先へのずさん融資」として金融庁に報告していた。
【ご心配おかけしました。】
(増子輝彦参院議員のメールマガジン「ましこノート」2008/11/3から転載)
今朝の朝日新聞記事には驚いた。朝早く某テレビ局の記者から電話があり、朝日のトップに書かれていますよ、ご覧になりましたか、と聞かれ一瞬何のことか分からなかった。その後マスコミ各社から事実確認の問い合わせが殺到した。報道された内容について説明をさせていただきます。
30年来の友人が興し上場を目指していた会社ユナイテッド・パワーの監査役に05年12月から07年12月までの2年間就いていた。
月額20万円の報酬を得ていた。浪人中の私に支援をしたい意向と中小企業経営者の経験で協力を求めての要請だった。有り難く引き受けた。この間月1度の監査役会を監査法人ともう1人の監査役とで行っていた。報酬は税務申告と資産報告できちんと行っていた。昨年4月参議院議員に当選したのち9月に民主党「次の内閣」経済産業担当大臣に就任した。
その後ユナイテッド・パワー社長から、経済産業省から業務停止処分を受けた報告と監査役辞任の要請があった。友情として友人が厳しい状況になるかもしれない時に監査役を辞めて逃げるようでは悪いと思い、引き続き監査役を続ける意思を伝え昨年の12月まで就いていた。
12月に入り再度迷惑がかかると申し訳ないと辞任の話があり辞任した。経済産業省に働き掛けをしたり委員会で擁護的質問をしたことは全くない。
また150万円が2度合計300万円分、党本部主催のパーティー券を購入してもらったが党本部が全額返却した。
以上がすべてであり隠すことはなにも無い。朝日の取材にもこの事実を2回にわたり話した。「次の内閣」経済産業大臣になってからも監査役を辞めなかった事は友情を大事にしたためであり何の意図もなかった。
ユナイテッド・バワーの細部の業務内容は知らなかったし、業務停止処分を受けたことも知らなかったのは不明の至りで反省している。
現時点ではネクスト経済産業大臣を辞任することは考えていないが党に事実関係を報告し相談したい。多くの方々にご心配をかけ申し訳ない。
また今後とも政治・政治家不信を招かないよう衿をただしていく。