3月1日、農業の戸別補償制度に関するアンケート調査を行いました。
鳩山政権が進める農家の戸別補償制度は、2つの柱から成り立っています。1つは、コメの生産調整に協力した販売農家に対し、生産費と販売価格の差額を補てんする米戸別所得補償モデル事業(米のモデル事業)です。もう一つが、水田で大豆や麦、米粉・飼料用米を生産する販売農家を対象にした「水田利活用自給力向上事業」(自給率向上事業)です。
「戸別所得補償」という名称が、あたかも“一戸一戸の農家の所得を補償する”かのような誤解を与えています。しかし、その実体は「差額の戸別配り制度」に過ぎません。制度の概要は、生産数量目標に従って主食用のコメを作り、水稲共済に加入している販売農家などに対し、生産費と販売価格の差を全国一律の定額で直接支払います。価格が下がった場合は、上乗せ助成をします。定額部分は、10アール当たり1万5000円です。
この金額は全国一律で、各地で生産条件などが違う現実を無視しています。2008年産米の10アール当たりの生産費は、一番低い北海道の11万2665円と、一番高い中国・四国の18万3686円では1.63倍の格差があるのです。それなのに全国一律にすると、不利な条件でコメを作る生産者の努力は報われません。
コメからの転作作物を助成する自給率向上事業にも疑問の声が上がっています。現行の産地確立交付金は、農地の団地化や担い手に対する経営支援に応じた地域独自の加算を行い、地方が主体的に転作を進めることができるようになっています。これを廃止し、品目ごとに全国一律の金額を助成する事業を実施しようとしています。米粉・飼料用などの新規需要米は、10アール当たり8万円を助成する一方で、麦や大豆は3万5000円、野菜や雑穀など「その他作物」は1万円と、かなり格差があります。新規需要米以外は、今の制度よりも大幅に助成が減ります。生産調整に真摯に応じ、経営努力を重ねてきた生産者や地方への配慮が欠けています。
そしてなによりも、農家への説明が遅れています。今年の営農計画も立てられないと、不安の声が出ています。
公明党茨城県本部では、農家の皆さまの声を直接お伺いして、日本の農業政策に具体的な提案をしていきたいと考え、アンケート調査を行うことになりました。
今日は、日立市中里地域の米農家と果樹農家を、地元の支持者の方に案内していただき調査しました。全く農協等の仕組みを使わず、米を作り自らが直接消費者に届ける方式で農業経営を行っている方が多いことに、驚いきました。農協を通して出荷するより高額で販売でき、固定客を掴めば安定的な経営が出来ます。したがって、生産調整には今までも協力しておらず、これからも戸別所得補償には全く興味がないと断言していました。
一方、果樹農家の方からも戸別所得補償については、否定的なご意見が寄せられました。「同じ農家でも、米を作る場所のよって品質も収量も違ってくるし、その費用も当然違ってくる。それを、全国一律の費用計算で行うことは、至極乱暴な話し。これでは、農家のやる気を削いでします政策だ」と、一喝されていました。
茨城県本部では、このアンケートを今週中に回収・集計し、今月中には結果を公表する予定です。