所得補償制度への期待感薄く、農業経営「変わらず」が8割近くに
3月31日、4月からスタートする水田農業の「戸別所得補償制度モデル対策」についてのアンケート結果を、公明党埼玉県本部(西田まこと代表:参院議員、参院選予定候補=埼玉選挙区)も、集計し公表しました。
このアンケートは、埼玉県本部の所属議員が1月23日から2月20日にかけて農家と直接面談する方式で実施、224人から有効回答を得たものです。
モデル対策は米の生産調整に協力する農家を対象に10アール当たり1万5000円を交付する「米戸別所得補償モデル事業」(米モデル事業)と、水田を使って麦・大豆などを生産する農家に一定額を助成する水田利活用自給力向上事業(自給率向上事業)が柱。地域で生産条件や費用が異なる中、両事業とも全国一律で定額を交付します。
アンケートの結果によると、戸別所得補償制度の導入で「農業経営は良くなる」と答えたのはわずか4.9%にとどまり、「現状と変わらない」とする回答が79.5%と圧倒的に多くなりました。さらに、「農業経営は悪くなる」も12.5%に上っています。悪くなるとした理由を記述式で尋ねたところ、「全国一律では不利な条件で米を作る生産者の努力が報われない」など制度設計の根本的な考え方に疑問を投げ掛ける声が目につきました。
当初は所得補償によって米農家の経営が安定し後継者も確保しやすくなるといった期待感もありましたが、アンケートで「農業後継者が増える」と答えたのは、わずか4.0%、「現状と変わらない」が67.4%、逆に「減る」は26.8%に達し、“バラマキ型農政”の限界が浮き彫りになっています。
さらに、埼玉農業の主軸である野菜や花きなどが戸別所得補償の対象外とされたことに関して、「米以外に戸別所得補償がないのは不公平だ」との回答が54.5%と過半数を超えています。
記者会見で西田氏は、アンケート結果について、「制度の内容が明らかになるにつれ、戸別所得補償に対する農家の期待感が大きく後退し、冷え込んでいる」と指摘。深刻な課題となっている後継者問題を含め、「日本の農業をどうしたいのか、鳩山政権の将来ビジョンが見えないとの声がたくさんあった」と述べました。
さらに、野菜生産が主力になっている埼玉農業の“緑の底力(可能性)”を発揮する観点から、「こうした分野を伸ばす成長戦略が必要だ」と、バランスのとれた農業政策の必要性を強調。園芸農業を軸にした地域農業の活性化に全力で取り組む考えを示しました。
なお、茨城県本部では、3月19日に結果を公表しています。戸別所得補償制度の導入で「農業経営は良くなる」と答えたのはわずか9.5%で、埼玉県より期待感は若干高いことが分かりました。
参考:農家の戸別所得補償制度に関するアンケート調査結果を公表
(写真は、筑西市内の農家と様々な課題について意見交換する長沢ひろあき党政務調査会副会長:2010/3/29)