12月7日、被災地の復興を加速させるため、「法律の上書き」を実質的に実現する仕組みなどを盛り込んだ復興特区法案が成立しました。
復興特区法は東日本大震災で被災した自治体(11道県222市町村)を対象に、規制や手続きなどの特例を認めたり、税制上の優遇措置や財政支援などを行うための法律です。もともとの政府案にも、公明党の主張する農地転用などの土地利用手続きの一本化や、国と地方との協議会設置などが盛り込まれていました。しかし、自治体が作る条例で法律の規制などを撤廃できるようにする「条例による法律の上書き」は盛り込まれていませんでした。これでは、例えば規制撤廃に個別の法改正が必要になった場合、法改正に時間がかかって、復興が迅速に進まない恐れがあり、公明党が粘り強く主張して「法律の上書き」を実質的に実現する仕組み盛り込むことをねばり強く働きかけてきました。
その結果、公明党の提案により自治体が国会に直接、規制緩和などを求める「復興特別意見書」を提出できるようにするとともに、国と地方の協議会の内容も国会に報告させるようにしました。国会では法整備が迅速に進むように、衆参両院の復興特別委員会に小委員会を設置し、 議員立法で意見書や報告に対応することにしました。これによって被災地の要望が早く実現できるような仕組みを作りました。
復興特区は、震災で「特定被災区域」などに指定された11道県の222市町村が対象です(詳細は以下の対象市町村リストをご参照ください)。規制緩和では、漁業権を民間企業に開放するほか、農地転用や市街地開発など土地利用手続きも一括許可します。税制面では、新規立地企業に対して5年間の法人税免除を講じます。
まちづくりでの規制緩和など特例措置の適用を受ける自治体は、個別の規制・手続きの特例を受けるための「復興推進計画」、土地利用の再編によって復興整備事業を迅速に行うための特例許可や手続きのワンストップ化などの特例を受けるための「復興整備計画」、著しい被害を受けた地域の復興に必要な交付金事業を盛り込んだ「復興交付金事業計画」の策定が必須条件となります。
3つの主要メニューの中で、茨城県の市町村では「復興交付金」を活用した復興事業が注目されています。復興交付金は総額で1兆9000億円、40のハード事業が示されており、液状化住宅地の復旧事業や住宅地の地盤崩落対策などが、潮来市や神栖市、東海村などでの活用が想定されます。ただし、具体的な事業採択の条件などは全く示されていないため、国の早急な対応が求められています。
▽岩手県、宮城県、福島県=全市町村
▽北海道=広尾町、浜中町
▽青森県=八戸市、三沢市、おいらせ町、階上町
▽茨城県 =水戸市、日立市、土浦市、古河市、石岡市、結城市、龍ケ崎市、下妻市、常総市、常陸太田市、高萩市、北茨城市、笠間市、取手市、牛久市、つくば市、ひたちなか市、 鹿嶋市、潮来市、常陸大宮市、那珂市、筑西市、坂東市、稲敷市、かすみがうら市、桜川市、神栖市、行方市、鉾田市、つくばみらい市、小美玉市、茨城町、大洗町、城里町、東海村、大子町、美浦村、阿見町、河内町、利根町
▽栃木県=宇都宮市、足利市、佐野市、小山市、真岡市、大田原市、矢板市、那須塩原市、さくら市、那須烏山市、 益子町、茂木町、市貝町、芳賀町、高根沢町、那須町、那珂川町
▽埼玉県=久喜市
▽千葉県=千葉市、銚子市、市川市、船橋市、松戸市、成田市、佐倉市、東金市、旭市、 習志野市、八千代市、我孫子市、浦安市、印西市、富里市、匝瑳市、香取市、山武市、酒々井町、栄町、神崎町、多古町、東庄町、大網白里町、九十九里町、横芝光町、白子町
▽新潟県=十日町市、上越市、津南町
▽長野県=栄村