公明党が強く求めてきた「細菌性髄膜炎」と「子宮けいがん」の予防に関する3つのワクチンが定期接種化されることになりそうです。、
幼い子どもがかかる「細菌性髄膜炎」を予防する2種類のワクチンと、若い女性に増えている「子宮けいがん」の合わせて3種類のワクチンについて、民主党の厚生労働部門会議は、公費で接種を受けられるよう、予防接種法を改正すべきだとする案をまとめました。
民主党の厚生労働部門会議がまとめた案によりますと、新たに公費で予防接種を行うべきだとしているのは、幼い子どもの脳や脊髄に細菌が入ることで引き起こされる「細菌性髄膜炎」を予防する肺炎球菌ワクチンとヒブワクチン、それに、毎年およそ3500人程度が死亡している「子宮けいがん」を予防するワクチンの、合わせて3種類のワクチンです。
これらの3種類のワクチンについて、国はおととしから費用の一部を助成していますが、部門会議では、法律を改正し、継続して保護者などの負担を軽減すべきだとしています。
定期接種は、市町村など自治体が実施主体となり、公費助成で行われます。ただ、3ワクチンを定期接種化すると、約1200億円の費用がかかる見込みで、自治体の財源確保などの課題が残っています。
ヒブ(Hib)とは、ヘモフィルス属インフルエンザ(Haemophilus influenzae)b型菌のことです。インフルエンザという名前がついていますがいわゆる流行性感冒とは関係ありません。主に5歳ぐらいまでの小児の細菌性髄膜炎の原因菌となる細菌です。
細菌性髄膜炎という病気は、脳を包む髄膜に菌が取り付いて炎症を起こすものですが、日本では1年間に約1000人が発症し、そのうちの約5%が死亡に至ります。また救命できても約25%が脳に後遺症が残るという恐ろしい病気です。
この病気の約60%がヒブに感染することによって発症するといわれています。このため、ヒブへの感染を予防するヒブワクチンが作られました。
外国では、ヒブに対するワクチンの接種が進んでおり、ヒブによる深刻な病気は100分の1程度に激減しています。しかし、ヒブワクチンの使用が遅れている日本ではいまだに幼児が細菌性髄膜炎などに感染するリスクが残っています。
日本ではヒブワクチンの一般への接種は2008年12月に始まりました。しかしこれは任意接種で、費用は自己負担なため、まだあまり普及していません。また、細菌性髄膜炎のもう一つの原因菌となる肺炎球菌を予防するワクチンも2010年2月から接種が可能になりましたが、これもまだまだ普及していません。
細菌性髄膜炎の治療のためには何よりも迅速な診断が求められるのですが、初期には風邪と見誤ることもあり、手遅れになる恐れもあります。このため、ワクチンで予防する事が望ましいのです。ヒブ菌はせきやクシャミで飛び散ることで拡大しますから、保育園や幼稚園など、子どもが集まる所では集団感染の恐れがあります。発症年齢が生後3ヶ月から5歳ぐらいまでの子どもを中心とした病気なので集団感染を防ぐためにもワクチン接種が有効な対策になります。
公明党はかねてからワクチンによる病気予防の有効性に着目し、積極的に普及を推進してきました。その一例が子宮頸がんの予防ワクチンに対する公費助成です。 子宮頸がんは年間約1万5000人が発症し、約3500人が亡くなるといわれ、最近、特に若い女性に患者が増えています。しかし、ウイルス性のがんであることから、ワクチンの接種と検診によってほぼ100%予防できるともいわれています。