交通事故などが原因で、激しい頭痛やめまいに襲われる「脳脊髄液減少症」。その効果的な治療法として知られるブラッドパッチ療法(硬膜外自家血注入療法)はこれまで全額、患者の自己負担で行われてきましたが、6月1日から東京都文京区の日本医科大学で、公的医療保険との併用が認められる「先進医療」による治療が始まりました。
7月1日からは順次、申請が認められた病院でも先進医療が始まります。今後、厚生労働省のホームページでも病院名を確認できるようになります。
先進医療に指定されると、ブラッドパッチ療法自体(約2万円)は保険適用外ですが、そのほかの入院費などが保険適用され、1~3割の負担になります。これによって、全額自己負担で30万円前後かかっていた医療費が、3 割負担の場合、10万円前後で済むようになりました。
長年にわたって保険適用を求めてきた患者・家族団体と公明党の主張の一部が、やっと認められたといえます。
脳脊髄液減少症は交通事故などで頭部や全身を強打することで髄液が漏れて減少し、頭痛やめまい、耳鳴りといったさまざまな症状が起きる疾患です。日本には数万~数十万人の患者がいると推定されています。
しかし、見た目に分かりづらいために「怠けている」などと言われ、悩んでいる患者も多いのも現実です。
ブラッドパッチ療法は硬膜の外側に患者自身の血液を注入し、髄液の漏れを止める治療法です。欧米では「脳脊髄液漏出症」の標準的治療として行われています。日本では脳脊髄液減少症として議論してきたために、その疾患の概念自体が定まっていないとして、保険適用外とされてきました。
今回の先進医療が適用されるのは、脳脊髄液減少症の中でも、立っている時に頭痛がし、厚労省の研究班が定める画像診断基準で患者の脳脊髄液の漏れが確認できる患者が対象で、ブラッドパッチ療法の有効性と安全性を確認するために行うものです。
公明党は2006年4月、脳脊髄液減少症対策ワーキングチームを設置して以来、ブラッドパッチ療法の一日 も早い診断基準の確立や保険適用をめざし、患者・家族団体と連携して、患者支援に全力を挙げてきた実績があります。
来月からは、医療機関での本格的な症例データの収集が始まる。今後、同療法の有効性と安全性が確認さ れれば、2014年度の診療報酬改定での保険適用に道が開かれます。
公明党は、あと一歩の前進に全力を尽くしたいと思います。
参考:厚生労働省:先進医療の概要について