うつ病診断の“見える化”に威力
12月13日、保健福祉委員会の病院局関連質疑で、県立こころの医療センターへの“光トポグラフィ”導入が正式に発表されました。この光トポグラフィ導入は、今年3月の予算特別委員会で、公明党の田村けい子県議が「うつ病」の診断体制の充実のために導入を強く求めたものです。
光トポグラフィとは、近赤外線脳機能計測装置(NIRS)と呼ばれ、頭部に近赤外線を照射し、反射してくる脳血流の変化を読み取り脳の活動状態を数値化する装置です。これにより、①大うつ病性障害、②双極性障害(そううつ)、③統合失調症の鑑別診断を補助する機能があります。
「うつ症状」に対する診断は、これまで医師の問診のみよって行われてきましたが、うつ・そううつ・統合失調症との鑑別が非常に困難でした。そううつの患者に、うつの薬を処方した場合、そう状態時に自殺などのリスクが高くなります。医師の問診に加えて、光トポグラフィなどの機器を活用して、科学的客観的な脳機能評価を行うことで、より正確な鑑別診断が可能となります。
光トポグラフィは、機器自体が高額であることや専門の知識を有する医師が必要であることなどから、3月議会では早期の導入には慎重な答弁がありました。
その後、県内の精神医療機関から、民間では導入が難しいこうした先進機器を県立病院が率先して整備すべきであるとの要望が強く寄せられました。また、7月には光トポグラフィの専門技術を有する医師が確保できたことから、今年度中の導入を決断したものです。
光トポグラフィ検査の開始は、平成25年2月頃を予定しています。検査費用は、13,000円程度を見込み、検査開始後に先進医療の承認申請を行うとしています。全国でも14の医療機関しか導入されていない光トポグラフィが、県立こころの医療センターに導入されることによって、“うつ治療の見える化”が大きく進むことを期待します。