自公政権の発足時に政権合意に盛り込まれた幼児教育の無償化に向け、政府と与党実務者による本格協議が始まりました。
幼児期は生涯にわたる人格形成の基礎を培う大事な時期です。この時期に質の高い幼児教育を保障することは極めて重要なことだす。就学前の教育支援が、生涯の人格形成や基礎学力の定着、犯罪の減少、将来の所得の増大をもたらすという研究結果もあります。
また、子育て家庭からは、少子化対策として幼稚園費などの負担軽減を求める声も多く挙がっています。こうした実態を踏まえ、公明党は、すべての子どもに質の高い幼児教育を提供するため幼児教育の無償化の必要性を主張してきました。
一方、保育所の整備を急ぐべきだとの声もあります。待機児童対策は喫緊の課題です。社会保障と税の一体改革では消費増税と併せ、子育て予算が1兆円超増額されることになり、待機児童解消や総合的な子育て支援のために使われます。また、これに先行して2012年度補正予算に保育士の処遇改善や復職支援による人材確保の予算が盛り込まれ、13年度予算案には保育所の受け入れを約7万人分増やす予算などが計上されています。こうした対策にも、無償化と併せて全力を挙げて取り組んでいく必要があります。
子どもがいる人に、経済的に負担が大きいものを尋ねたアンケート結果によると、大学は当然一番多くなっていますが、小中高校の費用よりも、保育所や幼稚園の費用の負担が大きいと答えた人が多くなっています。小・中・高校は公立が多いのに対して、幼稚園は8割が私立だからです。実際の費用をみてみると、私立幼稚園の費用は、全国平均で年間30万円程度。一方、公立幼稚園は年間8万円程度。認可保育所は所得に応じた負担になっています。
さらに、幼児教育は市町村によって支えられていますので、財政状況や首長の政策の如何で、保護者の負担に大きな差が生じているという問題もあります。例えば、茨城県内の3歳児の保育料をみてみると一番安い大子町は月1万5000円、一番高い常陸太田市は3万7700円と2倍以上の開きがあります。
こうした費用を、できるだけ無料にして、子育て世帯の経済的な負担を減らしていこうという考えです。
公明党は若者の就労や妊娠・出産、仕事と育児の両立など、子どもが成長するまでの期間を切れ目なく支援する体制が必要だと考えています。何より若い世代を総合的に支援し、子どもを安心して産み育てられる社会環境の構築が急務です。このため、公明党は児童手当をはじめ、奨学金の拡充、出産育児一時金の充実、不妊治療への助成などの経済支援を推進してきました。幼児教育の無償化もその一環であり、極めて重要です。
財源の確保については、これから議論を深めていく必要がありますが、その効果を最大化できるよう、幼児教育の質の向上にも力を注いでいきたいと思います。
また、無償化の検討に当たっては、認定こども園の拡充などに向け準備が進む子ども・子育て支援新制度との整合性を取るとともに、子育て世代など広く国民の意見を聞きながら議論を進める必要があります。
公明党は、安心して子どもを産み育てられる社会の構築へ、小学校就学前3年間の幼稚園、保育所、認定こども園などの幼児教育の無償化をめざし、取り組んでまいります。