「お泊まりディサービス」という聞きなれない言葉をご存知でしょうか?
要介護の高齢者が日中を過ごす施設サービスがディサービスです。このディサービスに宿泊の機能を追加したのが「お泊まりディサービス」です。ふだん在宅で介護している家族が、病気や旅行などで外泊する際に利用できるなどのニーズがあります。特別養護老人ホームなどでのショートステイなどのサービスが一杯にでで利用できないため、利用するお年寄りが急増しています。
「お泊まりディサービス」は公的な介護保険のサービスではないため、行政への届け出義務がないことに加え、事故が起きた際の報告義務や指導権限もなく、実態把握が難しい状況です。また狭い部屋で多くのお年高を預るなどプライバシーや保健衛生上の問題も指摘されています。
名古屋市が2011~12年にした調査では、2割弱の通所介護事業所が、宿泊サービスも提供していると回答しています。利用者ごとの個室が18%、仕切りなどで眠る際のプライバシーを配慮しているのが54%なのに対し「ハード面の配慮は特になし」が21%でした。
愛知県が昨年、政令市、中核市を除く県内の事業所にした調査でも、13%が宿泊サービスを提供していると回答しました。1カ月以上連続で宿泊している人がいる事業所が過半数で、慢性的に待機者がいる介護施設代わりに使われている実態が明確になりました。
宿泊料金も無料から一泊9000円まで幅がありました。
広島県では、約70平方メートルの宿泊スペースで60代以上の男女17人が泊まっていた事例も報告されています。
こうした状況の中、千葉県は昨年11月、「お泊まりディサービス」のガイドラインを策定しました。「連続利用は最長30日」「男女同室にならないよう配慮」「介護職員または看護職員を常時1人以上確保」「宿泊室の1人当たり面積を四畳半程度(743cm2)以上確保」「消防法上必要な設備の 設置」などを盛り込みました。業者選びに役立ててもらおうと、届け出、公表制度も導入しました。
ガイドラインということで法的な拘束力はありませんが、千葉県は守られない場合は「指導を行い、利用者の安全で確保を図りたい」としています。
こうしたガイドラインは、千葉県をはじめ、東京都や大阪府でも制定されています。
井手よしひろ県議は、3月県議会の代表質問で、「お泊まりディサービス」の実態把握とその対策を質問する予定で、県介護保険室と調整しています。現在、県は実態把握のため市町村にアンケート調査を依頼中です。