2013年6月に閣議決定された日本再興戦略のアクションプランでは、薬局を地域に密着した健康情報の拠点として、一般用医薬品等の適正な使用に関する助言や健康に関する相談、情報提供を行うなど、セルフメディケーションの推進のために薬局・薬剤師の活用を促進することが盛り込まれました。
これを受けて厚生労働省は、薬局に来れば、薬剤師から医薬品の情報だけではなく、健康食品、食生活、また禁煙、心の健康、在宅医療、介護ケアなどに関する情報を幅広く入手できる、環境整備を計画しています。
茨城県では、第2次“健康いばらき21プラン”において、身近で気軽に健康に関する相談ができる場所として、ヘルシースポット薬局を活用することを県民に働きかけることにしています。しかし、現在のヘルシースポット薬局の役割は、禁煙指導のみとなっています。
最近、専門家の適切なアドバイスのもと、体の軽微な不調や症状は、みずから手当てするというセルフメディケーションへの関心が高まっています。さらに、本年4月からは、薬局においても血糖値や中性脂肪などの簡易な検査ができるようになったことから、身近な薬局においても生活習慣病の早期発見が可能となりました。
今年度から、埼玉県では、薬局・薬剤師を活用した健康情報拠点推進事業がスタートしました。この事業は、薬局・薬剤師を活用し、地域に密着した健康情報の拠点として位置づけ、セルフメディケーションやうつ病、自殺対策などの心の健康、さらに、高齢者、要介護者への生活機能に着目した服薬指導及び在宅医療を推進する取り組みです。
茨城県議会公明党では、6月議会の一般質問で高崎進県議が、「薬局・薬剤師を活用した健康情報拠点の整備について」提案しました。
茨城県、薬局を住民の健康情報拠点にする事業を開始
こうした流れを受けて、県は10月から、薬局を住民の健康情報拠点にする事業を始めることになりました。
気軽に立ち寄れるかかりつけ薬局として、一般用医薬品などを用いた健康管理支援や健康相談などに応じ、解決策を提案してもらう。本年度中に県内200薬局の指定を目指します。国庫補助事業で、事業費500万円を盛り込んだ補正予算案が、第3回定例県議会に提出されています。
厚生労働省によると、2012年度の本県の1人当たりの医療費(国民健康保険と後期高齢者医療の合計)は41万5000円。全国で44番目に低いものの増加傾向にあります。薬局に多様な役割を担ってもらうことで不要不急の医療機関への受診を減らし、医療費の増加を防ぐ狙いもあります。
事業は県薬剤師会に委託し、医師や看護師、栄養士なども交え「セルフメディケーション推進連絡会議」を設置。県内の薬局計1242カ所から希望を募り、セルフメディケーション支援薬局に指定します。
支援薬局は相談業務に応じられる場所や時間を確保し、薬剤師が食生活や禁煙指導のほか、血圧測定などを通じ高血圧対策も進めます。軽症の場合は一般用医薬品を活用し、体調管理や服薬について助言します。
4月から薬局での自己採血検査が認められたことを受け、過去1~2カ月の血糖値の状態を示すヘモグロビンA1cの測定機器を設置する薬局には県が購入費の一部を補助します。結果を踏まえ、糖尿病が疑われる場合などは早期受診を勧め、重症化を防ぎます。
県は今後、患者の症状に応じ的確に対応できるよう薬剤師向けの研修会も開く予定で、支援薬局の目印となるステッカーやのぼり旗も作成します。