今年3月2日より、茨城県利根町では、首都圏などからの移住者を増やそうと、常陽銀行と提携して利根町の「空き家バンク」登録物件購入者に対し、住宅ローンを優遇する新制度を導入しました。すでに持ち家があり、ローンを抱えている場合、持ち家を賃貸に出して家賃収入を返済に充てる「住み替えプラン」も創設しました。常陽銀行によると、空き家バンクとの連携ローンは県内で初めてです。
利根町の空き家バンクは2011年度にスタート。空き家を売却または賃貸したい所有者から物件情報を提供してもらい、町の公式ホームページなどで紹介しています。これまでに62軒が登録され、31軒の賃貸や売買が成立。6日現在、14軒が登録されています。
この提携プランでは、「空き家バンク」の家を購入する場合、住宅ローンの金利を通常よりも1.6%優遇します。また、住み替えプランでは一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」と長期借家契約を結んで機構が貸し出します。
この利根町の取組が6月4日付の公明新聞で紹介されました。以下、引用します。
定住促進へ金利優遇/空き家バンク利用者に銀行との連携ローン/公明町議も推進
茨城県利根町では現在、若者の定住や町外からの転入者の増加を目的に民間銀行と連携し、町の「空き家バンク」の利用者に対して金利を優遇する連携ローンを開始している。町によると「市町村の空き家バンク制度と地方銀行が連携して行うローンは県内初」。定住促進などを推進してきた公明党の船川京子町議はこのほど、町役場を訪れ、担当者から話を聞いた。
利根町は、1970年代から首都圏のベッドタウンとして住宅開発が行われ、人口が急増。しかし当時の転入者は高齢になり、子ども世代の町外転出にも歯止めがかからない。こうした中で、空き家数は年々増加。そのため町は、空き家を有効活用することで定住促進と地域の活性化につなげようと、2011年に「空き家バンク」制度を開始した。同制度は、空き家所有者からの物件情報を、町のホームページなどで利用希望者に公開する制度だ。
今年3月に開始した民間銀行との連携ローンは、(1)空き家バンクに登録してある物件を購入する際に利用できる「住宅取得プラン」(2)購入後のリフォーム時に利用できる「リフォームプラン」(3)購入して住み替えをする時に利用できる「住み替えプラン」――の3種類。
住み替えプランでは、今まで住んでいた持ち家の借り上げを一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)が行い、JTIからの賃料収入でローンの残額を返済できるため、多重ローンが避けられる。住宅取得プランは年率1.6%、リフォームプランは1.2%、住み替えプランは1%の金利をそれぞれ優遇する。
また、町独自の助成制度として、町外から転入してくる子育て世帯を対象にした「空き家子育て活用促進奨励金」や、「空き家リフォーム工事助成金」の制度で、さらなる空き家の利用や定住の促進をめざす。さらに4月から「新築マイホーム取得助成金」制度も導入。これは、今年度以降に住宅の新築・建て替えなどをした人に対して、住宅取得に掛かった費用の一部を助成する制度。5年以上定住するなどの交付条件を満たすことによって、助成が受けられるという。
空き家バンクの登録数は69件(5月13日現在)で、契約成立件数は33件(同)。担当者は、固定資産税の納税通知書に空き家バンクのチラシを同封するなど、周知方法を工夫してきたことを説明した上で、「さらにPR活動や周知を行い、定住を促進していきたい」と話していた。
船川町議は14年の第4回定例会で、町として空き家の問題は深刻だとした上で、定住促進を訴え、町側と意見交換も行ってきた。担当者から話を聞いた船川町議は「さらなる定住促進に取り組んでいきたい」と語っていた。