12月24日、政府は2016年度予算案を閣議決定しました。総額は96兆7218億円、今年度の当初予算を3799億円上回り過去最大です。
そのポイントや公明党の主張が反映された点などについて、12月26日付の公明新聞の記事などからまとめてみました。
16年度予算は、公明党が長年主張してきた子育てや介護への支援の充実などに重点を置き、必要な経費を確保する一方、来年度が初年度となる財政健全化計画を実行に移しました。経済再生と財政健全化が両立した非常にバランスの良い予算案になりました。
年明けに召集される通常国会で、年度内の早期成立をめざすべきです。
子育て支援を充実、児童扶養手当を増額
特に子育て支援では、平成29年度末までに保育所などの受け皿を新たに50万人分増やすため、保育所の整備費用などとして2748億円。企業が従業員向けの事業所内保育所などを整備する際に、市区町村の認可がなくても、国からの補助金を受けられるようにする新たな事業として797億円が盛り込まれました。
また、出産を希望する人たちへの支援として、不妊治療を初めて受ける際の助成金を15万円から30万円に増やすことなどに158億円が盛り込まれました。17年度末までに50万人分の保育の受け皿を新たに整備する経費が大幅に拡充。このうち5万人分は、事業主の拠出金引き上げで財源を確保します。
幼児教育の無償化にも大きく踏み出しました。児童扶養手当が、来年12月の支払い分から最大で、第2子への加算額が5000円から1万円に、第3子以降への加算額が3000円が6000円に倍増され、費用として28億円が上乗せされます。
幼稚園や保育所の保育料の軽減策も拡大されます。年収が360万円未満の所得の低い世帯への支援策として、ひとり親家庭の場合、第1子の保育料を半額に、第2子以降を無償にするほか、ひとり親でなくても、子どもが2人以上いる世帯への保育料の減免を拡充し、そのための費用として126億円を増額します。
義務教育では、いじめ・不登校対策や特別支援教育などに対応する教員定数が前年度比で525人増えます。
2020年代までに介護の体制を強化
介護の充実では、2020年代初頭までに介護の受け皿50万人分を新たに整備する目標達成への経費を盛り込みました。介護休業は、分割取得できるようにし、介護休業給付を賃金の40%から67%に引き上げるため、44億円が計上されました。介護をしながらでも働きやすい環境をつくるのが目的です。
親などの介護に当たるため仕事を続けられなくなる人を減らそうと、「特別養護老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅」などを2020年代初めまでに50万人分以上増やす費用として423億円が計上されました。
さらに、所得が低い65歳未満の人で、障害基礎年金や遺族基礎年金を受給している約150万人に1人3万円の臨時給付金を支給するため、450億円が盛り込まれました。
鬼怒川の改修などに143億円
関東・東北豪雨被害への対応では、防災・減災対策やインフラの老朽化対策には重点的に予算を配分しました。石井啓一国土交通相(公明党)が麻生太郎財務相と折衝した結果、堤防が決壊した鬼怒川など5河川を集中的に改修する予算143億円が認められました。
保管米の補償は、補正予算で10アール当たり7万円
また、12月18日に概算決定された補正予算で、収穫後保管米の被害に対し、国などが、10アール当たり7万円を上限に補助することになりました。来年度に営農を再開することが交付要件で「営農再開支援金」として助成されます。被災農家営農再開緊急対策事業(台風第18号による保管米被災農家向け)として8500万円が盛り込まれました。支援金の半分を国が、残りを県と市町村が負担します。
この事業は、今年度産の保管米が被害を受けた農家が、種苗の準備、土作りなどの営農再開の準備をする際、必要な経費を支援するものです。
茨城県が10月5日にまとめた常総市の収穫後保管米の被害は、被害農家540戸、被害金額2億3264万円、被害数量1092トンに上ります。保管米は農業共済組合の共済金支払いの対象にならないため、県は国へ救済措置を要望していました。農林水産省穀物課は「年度内に被災農家に支払いが出来るようにしたい」としています。