“保育所落ちた 日本死げ!”ブログ問題で一躍脚光を浴びた、保育所の待機児童問題。公明党待機児童対策推進プロジェクトチーム(PT)は3月25日、首相官邸で安倍晋三首相に会い、2万人超いる保育所などの待機児童の解消に向けて地方議員などと連携して取りまとめた緊急提言を手渡しました。
提言では、待機児童は大都市のある都道府県に多いため、地域の実情や利用者の視点に立ったきめ細かな支援策が重要だと指摘。その上で、保育人材確保策を進めるとともに待機児童が多い地域を「待機児童解消特別地域」に指定し、即効性のある施策を集中的、重点的に行う必要があると提言しました。
具体的には、待機児童の約8割を占める0~2歳児の受け皿拡大へ、昨年4月から助成対象となった家庭的保育・小規模保育などの多様な保育を拡充します。特に原則2歳児までの小規模保育の対象を3歳児まで広げ、定員上限19人を弾力的に増やし、3歳児以降の受け皿となる連携施設の確保も図ります。年度途中の保育所開園や空き家などを活用した一時預かりを進めるとしています。
保育施設の整備を促すため、待機児童の多い地域に限っては株式会社やNPO法人、宗教法人などにも施設整備費の補助制度を検討すべきとし、認可外保育所の認可化移行支援の要件緩和などを訴えています。
利用者支援では、保育相談員「コンシェルジュ」の機能を強化し、申請前の段階から相談支援や夜間・休日の時間外相談を行うよう求めています。用地確保を進めるため、保育施設の賃料を含め借地料の支援を強化し、賃貸物件を大規模修繕する場合には補助を実施。国有地の有効活用なども盛り込みました。
保育人材の確保では、他職種と比較して低い保育士の賃金水準を、まずは約4%引き上げを確実に行い(2015年度補正予算分含む)、さらなる賃上げを検討する。また、職責に応じたキャリアアップ支援などの仕組みづくりも進めます。
このほか短時間正社員制度や育児休業取得を推進し、子育てや家庭との両立ができる働く環境づくりを行い、離職した保育士(潜在保育士)の確保などを急ぐように要望。さらに、育休から保育所への入所が円滑に進むように政府が事業主などに対して要請を行うことなども求めています。
こうした公明党の提言を受けて、政府は「1億総活躍社会」の重要課題である待機児童解消に向けた対策を取りまとめました。
保育所が見つからない働く母親らへの緊急対策として、「一時預かり」施設の定期利用を認めることを盛り込みました。また、安倍首相は同日、1億総活躍の障害となる長時間労働を抑制するための規制強化に乗り出す方針を表明しました。
対策は「緊急的に対応する施策」「4月から実施強化する施策」「中期的な施策」の3種類に分かれています。
緊急的施策は、小規模保育所などを対象に臨時の定員増を認めることや、保護者の相談に応じる保育コンシェルジュの設置促進などを列挙してあります。4月からは、小規模保育所の整備費補助制度の創設や、保育所の賃借料支援の強化を盛り込んでいます。保育士の処遇改善などは、中期的な施策に位置づけています。
安倍首相は、保育所整備や処遇改善について「(財源確保など課題もあるが)しっかりと進めていかないといけない」と応じ、女性の活躍を含めて総合的に取り組むとしました。
参考:待機児童の解消を求める緊急提言(全文)
https://www.komei.or.jp/news/detail/20160326_19546