平成30年の正月。自民・公明両党が2012年12月に政権に復帰してから6年目に入りました。
政権復帰時の連立政権合意では「決して驕ることなく、真摯な政治を貫くことによって結果を積み重ね、国民の本当の信頼を取り戻さなくてはならない」と確認しています。改めてこの原点に立ち返り、国民の期待に応える政権運営にまい進しなければなりません。
この5年間、自公政権は最優先課題である経済再生をはじめ、子育て支援や社会保障の充実、震災復興の加速、日米同盟の強化など、数多くの成果を上げてきました。
実現できたのは、端的に言えば、安定した政権基盤があったからです。それは議席の「数」という意味においての安定だけではありません。
劇作家の山崎正和氏は著書の中で「自公両党は友好のうちにも真摯で熾烈な論争を交わして、連立政権の理想形ともいうべき政治ドラマを展開した」と評しています。自公両党が互いに持ち味を生かし、切磋琢磨して政策を磨き、実行してきたことが、「質」の面でも安定を生んでいると言えます。
公明党は地域密着型の政党として、丹念に現場の声をすくい上げてきました。時には政府や自民党と意見がぶつかることもありますが、より多くの国民が納得できる「最適解」を導き出してきました。
消費税への軽減税率導入や、憲法の下で許される自衛の措置の限界を明確にした平和安全法制は、その代表例です。
最近では、来年度税制改正における所得税改革で、当初の政府案に「中間層の生活を直撃する」と“待った”をかけ、増税となる年収基準を引き上げる修正を行いました。
一橋大学大学院の中北浩爾教授は「公明党は中道の立場から安倍政権が右寄りに傾いたら、それにブレーキをかけてもらいたい。国民目線、弱者の目線など幅広い視点を政治に反映する役割にも期待している」と述べています。
公明党の真価問われる“憲法論議”
その意味では、憲法改正に関する自民党の動きには、敏感にならざるを得ません。憲法改正に対する公明党の考え方については、憲法3原理を堅持しながら、必要な条項を加える「加憲」の立場です。憲法に盛り込むべき具体的な項目は、議論は始まったばかりであり、世論調査を見ても、コンセンサス(合意)が十分にできていません。改正の期限を決めた拙速な議論は慎むべきであり、深く厚い議論が必要です。
民意が多様化する中で、政権には今後ますます、より広範な合意をつくる努力が求められます。党員や地方議員とのネットワークを生かし、丁寧に合意形成の政治を前に進めていかねばなりません。