日本放送協会(NHK)の受信料徴収問題は、訴訟問題に発展するなど注目を集めています。一方、その受信料に減免措置があることはあまり知られていません。
例えば、全額免除となるのは、●生活保護法に規定する扶助を受けている場合、●身体障害者、知的障害者、精神障害者がいる住民税非課税世帯、●社会福祉法で定められた施設に入所してい場合、などが対象となります。また、●義務教育機関・幼稚園(小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校(前期課程に係るものに限る)、特別支援学校、幼稚園)、●社会福祉施設(生活保護施設等、児童福祉施設等、母子・父子福祉施設等、老人福祉施設等、障害者支援施設等、身体障害者福祉施設、知的障害者福祉施設、婦人保護施設、更生保護事業施設など)が該当します。さらに、災害被災者の受信料も全額免除対象になる場合があります(東日本大震災では、災害救助法が適用された区域内において半壊、半焼又は床上浸水以上の程度の被害を受けた建物の放送受信契約が免除対象となりました)。
半額免除となるのは、●視覚・聴覚障害者(視覚障害または聴覚障害により、身体障害者手帳をお持ちの方が、世帯主で受信契約者の場合)、●重度の身体障害者(身体障害者手帳をお持ちで、障害等級が重度(1級または2級)の方が、世帯主で受信契約者の場合)、●重度の知的障害者(所得税法または地方税法に規定する特別障害者のうち、児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センターまたは精神保健指定医により重度の知的障害者と判定された方が、世帯主で受信契約者の場合)、●重度の精神障害者(精神障害者保健福祉手帳をお持ちで、障害等級が重度(1級)の方が、世帯主で受信契約者の場合)などです。
受信料の減免を受けるためには、NHKへの申請が必要です。申請がなければ、通常の受信料が請求されます。
①申請書に必要事項を記入してください。申請書は自治体(市の福祉窓口や福祉センターなど)やNHKの窓口にあります。②自治体に申請書を提出し、免除事由の証明を受けてください。③証明を受けた申請書をNHKにご提出(郵送)してください。
参考:NHK放送受信料の免除について:http://pid.nhk.or.jp/jushinryo/taikei-henkou.html
公明党の主張で社会福祉施設の受信料を一律免除
NHKは、受信料の負担軽減策を今年度からの3カ年経営計画の中に盛り込みました。このうち4月から新たに免除対象になったのは小規模保育のほか、病児保育、手話通訳、介助犬訓練、小規模多機能型居宅介護など25事業を展開する施設・事業所で、契約件数は約2万件に上ります。この免除対象事業拡大の陰には、公明党の太田ゆきのぶ愛媛・松山市議(市議選予定候補)が一人の声を受け止め、山本博司参院議員につなげた見事な連携プレー、ネットワークの力がありました。
松山市で知的障がい児通所施設などを運営する社会福祉法人あゆみ学園の森公夫理事長が、「小規模保育事業所ひかり」を開設したのは2016年4月でした。開所後、NHKの受信契約を結びましたが、この時、小規模保育事業所が受信料免除の対象になっていないことを初めて知らされました。これまであゆみ学園が運営する施設は、全て受信料が免除になっていたため、当然、免除になると思っていました。森理事長は「どうして同じ社会福祉事業なのに、小規模保育は対象ではないのか」と、疑問が湧きました。
その後、森理事長は以前から交流のあった太田市議にこうした矛盾を訴えました。
MHKの予算は、国会で審議されることが放送法で定められていることから、太田市議は、当時総務委員会に所属していた山本参院議員と連携。受信料免除の実態を調査すると、2000年6月の社会福祉法改正以降に法律に規定された事業は対象外となっており、同じ社会福祉法に規定されているにもかかわらず、免除される事業とされない事業があることが判明しました。小規模保育は、同法改正以降に規定されたため、免除の対象になっていなかったのです。
山本氏は早速、2016年11月の参院総務委員会でこの問題を取り上げ、免除基準の根拠を聞き、「基準の根拠が希薄であり、不平等を解消すべきだ」と指摘し、見直しを強く迫りました。
さらに、2017年3月には同委員会で、公益性の高い幅広い社会福祉施設への受信料免除を要望。NHKの参考人から「外部有識者によるNHK受信料制度等検討委員会に諮問し、答申を踏まえて対応する」との答弁を引き出しました。
その後、検討を重ねたNHKでは、事業者や視聴者からの意見も踏まえ、社会福祉法に規定されている全ての事業を対象にすることを決定。次期3カ年経営計画に受信料の負担軽減策を盛り込み、今年1月の経営委員会、3月の総務相の認可を経て、4月から実現しました。今後、社会福祉法に規定される事業は自動的に免除対象になります。