5月8日、自民、公明の与党両党は、首相官邸で安倍晋三首相に会い、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で賃料支払いが困難になっているテナントの事業継続支援を求める提言を手渡しました。安倍首相は「(対策は)スピード感が大切だ。提言をもとに、政府として全力で取り組んでいきたい」と述べました。公明党からは北側一雄副代表、石田祝稔政務調査会長、岡本三成衆院議員が出席しました。
中小企業の家賃への給付提言のポイント
●家賃の3分の2を半年分給付
●交付金拡充し自治体の対策支援
●賃貸借契約維持へ取り組み強化
●金融機関に柔軟な対応を要請
提言では、テナントの事業を継続させるため、賃料負担の軽減に重点を置き、給付金の実施や自治体への交付金拡充など支援策を重層的に展開するよう求めています。
具体的には、政府系や民間の金融機関による無利子・無担保融資の迅速な実行と共に、家賃補助に特化した「特別家賃支援給付金」の創設を主張。すでに実施されている「持続化給付金」の仕組みを活用し、1カ月の売り上げが前年同月比で50%以上減少した中堅・中小企業、小規模事業者や個人事業主などを対象に、支払う家賃の3分の2相当を半年分、支給するよう要望しました。給付額の上限は中堅・中小企業、小規模事業者が月50万円、個人事業主が同25万円です。
また、独自で賃料支援策を実施する自治体への支援として、2020年度補正予算に盛り込まれた「地方創生臨時交付金」を拡充するよう明記しました。事業継続に向けてオーナー側やテナント側にさまざまな措置を講じている自治体が、地域の特色を踏まえてきめ細かに独自支援を実施できるような財政支援を訴えました。
提言ではさらに、テナントとオーナー間の賃貸借契約が維持され、賃料支払いの減額交渉などが適切に行われる環境整備に政府が取り組むよう要請。また金融機関に対して、事業者の既往債務の減免や返済猶予などの条件変更、新規融資に迅速かつ柔軟に対応するよう求めました。
公明党の北側副代表は、自治体独自の賃料支援策について、「地域の特性に応じた措置で、今後とも必要だ」との認識を表明。その上で地方創生臨時交付金について、「使い道は自治体の自由で使い勝手が良い。事業者の事業継続を応援する財源になると思う」と述べました。
公明/学業断念防止へ大学生・大学院生に10万円の給付金提言
■約50万人(大学院生も含む)、予備費を活用
5月8日、公明党の新型コロナウイルス感染症対策本部長の斉藤鉄夫幹事長と浮島智子文部科学部会長(衆院議員)は、文科省で萩生田光一文科相と会い、感染拡大の影響で経済的に困窮する学生の学業継続断念を防ぐため、2020年度補正予算の予備費を活用して1人10万円の現金給付を行うよう求める緊急提言を申し入れました。
萩生田文科相は「思いは同じだ。早急に対応したい」と表明しました。
緊急提言では給付対象として、住民税非課税世帯約10万人、それに準ずる世帯約10万人、中間所得層でアルバイトにより学業と生活に必要な収入を得ている約24万人を含む大学生や専門学校生、大学院生などを挙げ、約50万人に給付することを想定している。
席上、斉藤幹事長は、500億円規模となる給付の財源として、予備費の活用を提案。萩生田文科相は、予備費の活用で財源のめどが付けられるとの認識を示すとともに、給付の対象に大学生などだけでなく大学院生を含めるよう提言していることについて「大変にありがたい」と評価しました。
公明党の斉藤幹事長は申し入れ後、記者団に対し、給付について「急を要するので1週間の間にスタートすると思う」と述べ、政府の迅速な作業に期待を表明しました。
申し入れに先立ち国会内で行った記者会見では、4月に開始した「高等教育無償化」などの枠組みで支援が行われてきたものの、「学生が置かれる環境の急激な悪化などに対応できなくなった」と指摘。アルバイトの解雇など突然の収入減による「学びの継続の危機を抱えている学生がたくさんいる」として、現金給付を急ぐ必要性を力説しました。
また、非課税世帯の学生への給付では「少し幅をもって上乗せがあってもいいと考えている。文科省でしっかり制度設計をしてもらいたい」と述べました。
一方、申し入れの席上、浮島部会長は学生のアルバイトに関して、給付事務の手伝いや障がい児のオンライン学習のサポートなどで学生を雇っていくことも提案。萩生田文科相は「早急に進めたい」と応じました。