国内の新型コロナウイルス感染者が急速に減少し、現在も低い水準で推移しています。
次の感染拡大のナギのような状況なのか、それともウィズコロナの社会への助走なのか、重要な時期にさしかかっています。
大阪大学大学院医学系研究科の忽那賢志教授は、新規感染者が急減した要因を、日本人の行動変容とワクチンの接種効果と分析し、次のように語っています。
「感染者減少は、複数の要因が考えられるが、人々の行動変容とワクチン接種の急速な進展が一種の“相乗効果”を生んだのではないか。7月下旬の4連休以降、実効再生産数(感染者1人が平均して他人にうつす人数)は減少に転じた。飲食店や映画館といった商業施設に行く人が減ったと指摘されており、感染者が増えているとの報道などで行動変容が起きたといえよう。同時に、ワクチン接種が短期間のうちに進んだことが大きい。これにより、感染が広がりにくい状況になり、減少するスピードを加速させたと考えられる。感染を“火”、人を“木”に例えると、ワクチンを打った人は雨水をかぶった木のような状態だ。1本の木に火が付いても、燃えにくい木が増えたため、広まらずに収まる環境がつくられた」
また、ワクチン接種により、重症者や感染者を減らせることが分かってきました。
感染者が急増した第5波でも、高齢者を中心に接種が進んだことで、致死率が大きく抑えられましま。
大阪府では、第4波の致死率は2.8%でしたが第5波は0.3%まで下がりました。
今後、経口治療薬(飲み薬)が導入されれば、重症化する人はさらに減ることが期待されます。
元通りの生活とはいきませんが、徐々に行動制限を緩めていける段階に到達していることは、事実です。
ただ、この感染症は消滅するものではない。脅威度に合わせて対策を講じながら、上手に共存していくことを模索するべきです。
個人的には、ゼロ・コロナを目指すことは、不可能に近く、コロナと上手く付き合うウイズコロナを目指すべきと考えています。
新型コロナワクチンの3回目<ブースター接種>
現時点では感染が抑制されていますが、ワクチン接種後は時間がたつにつれて感染予防効果が落ちとされています。効果を持続させる3回目の「ブースター接種」を円滑に進める必要があります。
忽那教授は、「第6波がいつ、どのぐらいの規模で起こるかは、さまざまな要因が絡むため、正確に予測することは難しい。新しい変異株が出現する可能性もあり得る。感染者が増えた分だけ変異株も出やすくなるため、感染者を少なく抑えることが大事だ。今後も、手洗いやマスクの着用、3密を避けるといった基本的な感染対策は継続する必要がある。さらに、ワクチンの2回接種を完了した人は、ブースター接種をぜひ検討してもらいたい。今シーズンは、流行していなければ帰省も可能かもしれない。安心して会うためには、お互いがワクチン接種しておくことが望ましい。接種できない人は、PCR検査を活用するなどして帰省を検討してほしい」と、語っています。
政府は、3回目のブースター接種を、年内にも始めることにしています。2回目の接種が終わってから、6カ月でも3回目を受けられる体制を整備することになります。地方自治体は、速やかに接種体制の整備を進めることが重要です。
PCR検査や抗体検査も、無料で迅速にできる仕組みを構築してほしいものです。
3回目のワクチン接種、検査体制のさらなる充実、飲み薬の開発・普及、医療機関等の体制充実などなど、課題は山積しています。
私たちも、マスクの着用や三密回避、手洗いの励行や感染リスクの高い行動を慎むなど、やれる事はたくさんあります。
コロナと言う未曾有の危機を乗り越えるために、努力を続けたいと思います。