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ひたみち日記

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井手よしひろが茨城県日立市からローカルな情報を発信中

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水没車からの脱出実験

管理者 1997年6月8日
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特殊ハンマーを携帯○10分程度は沈まない○パニックが一番危険

 4月に発生した日立市留橋での落下水没による一家4名の死亡事故(※)をはじめとして、県内では今年になって、4件8名が水没によって死亡する事故が続いている。
(※)http://www.jsdi.or.jp/~y_ide/n_9704tome2.htm

1997/3/12 江戸崎署管内 2名死亡
1997/3/14 麻生署管内 1名死亡
1997/4/8 日立署管内 4名死亡
1997/4/27 つくば中央署管内 1名死亡

 こうした事故を受けて、茨城県警ひたちなか西警察署では、6月6日、ひたちなか港内にて、水没した車からの脱出実験を行った。

 砂浜に、自衛隊の協力により幅5m長さ10m水深2.5mの人工の池が作られ、この池に車を水没させ、実験が行われた。

 実験は3台の車を使って行われた。

 まず第一の実験は、軽自動車(スズキアルト660cc)を使って車の窓を木槌やハンマー、特殊ハンマーで割ることができるかの実験を行った。

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窓ガラスを室内から割る実験

木 槌

かなり力を入れて割ろうとしたが結局割ることができなかった。

金 槌

力を入れれば割ることができた。

特殊ハンマー

簡単に割れた。女性が行った実験でも、一撃で割ることが可能であった。

特殊ハンマー

 特殊ハンマーは、ドイツなどでは、携行が義務づけられている先が尖ったハンマー。柄の部分にはシートベルトを安全に素早く切るカッターとなっている。

二番目の実験では、乗用車を自力で走行させ水没させた。

実験車

2000ccクラスの乗用車(FF車)

トヨタカムリ

搭乗者

3名

スエットスーツと酸素ボンベを装着

着水後15秒

ドアの隙間などから水が進入し始める

入水直後にエンジンは停止

水の勢いは思ったより強くない

約1分後

エンジン部が重いため、車は大きく前方に傾き始める

水没実験

パワーウィンドウは入水後1~2分は使用できる

ある程度の初速で着水した場合は、乗用車はエンジン部を下にして、半回転することも多い。(屋根を下にして水底に沈むことがある)

3分後

全席の搭乗者の膝まで水が進入

後部座席は水没していない。十分に浮力が残っている。この段階で、ドアは水圧で開きにくい。

視界が悪くなり、ドアロックの場所がわからなくなる。

シートベルトを解除(切るより解除した方が早く簡単)

5分後

エアコンの空気吹き出し口4カ所から勢いよく水が進入し始める

水位は前席の胸のあたりに達する。

5~6分後

ガラスを押しても開かない。ドア開放せず。パワーウィンドウ作動せず。
特殊ハンマーでドアの窓ガラスを割る。

二撃で割れる。同時にガラスの破片と、水が一気に流れ込む。

 

水が一気に入り込み内部と外部の水圧が等しくなるとドアは簡単に開く。

 

6分後

最後まで車内にいた搭乗員も脱出する。

完全に水没

実験に参加した読売新聞の吉田健一記者は、6月7日付の茨城県版に下記のような実験ルポを寄せている。

慌てず行動が大切と痛感

 記者は、この日の実験に参加、水没した状態からの脱出を体験した。車には、記者のほか、同署員二人がウェットスーツに酸素ボンベを装着して乗り込んだ。
 車を走らせ、スロープからそのままプールに「転落」。約15秒後には、ドアのすき間などから浸水しはじめた。水の勢いは思ったほど強くはない。エンジン部分が重いため、車は前傾し、約三分後にはひざのあたりまで水が入ってきた。
 約5分後、車内に4つあるエアコンの空気吹き出し口から、滝のように水が激しく流れ込み、水位が胸の付近まできた。「今だ」。そう心のなかで叫んで、特殊ハンマーで窓ガラスをたたく。ガラスは一回で簡単に割れたが、同時にガラス片と水が一気に流れ込んでくる。その3分後に車は完全に水没した。
 車内と外の水圧が同じになったため、ドアを容易に開けることができ、左足でけり開けて車外への脱出には成功した。水面に出たとき、フーツと大きく息を吸い込んだが、水もかなり飲んでいたのか、せき込んでしまった。
 比較的落ち着いていたと自分では思うのだが、水位が首のあたりまでくると、実験とは分かっていても焦ってしまい、「取ってはどこだ」と、手さぐりで必死に探してしまう場面もあった。ボンベを装着していなければ、きっとパニック状態に陥っていただろう。
 実験に参加して、万一の事故に備え、特殊ハンマーを車内に常備することと、実際に水に転落した際は、慌てずに出来るだけ早く窓を割って脱出することが必要だということを痛感した。
読売新聞1997/6/7茨城版:吉田 健一 記者

三番目の実験はワンボックスカーを使用して行われた。消防のレスキュー車で車を吊り上げ、背面(屋根)から水没させての脱出実験を行った。

実験車

ワンボクックスカー

マツダ「ボンゴ」2000cc

搭乗者

3名

スエットスーツと酸素ボンベを装着

着水約30秒後

クレーンで吊り下げていったワンボックス車は、車内空間が広く重心が相対的に低いため浮力が大きく逆さにはならない。横転をするような形で沈み始めた。

横転したため、搭乗者は上下左右の感覚がなくなる。

水没実験

約4~6分

エアコンの送付口より、水道の蛇口のように水が流入。

車体は半分程度を水上に出し浮いた状態である。

ドアは水圧で開かず。

 

7~8分

3分の1程度は水から上に出ている。

水没した面の窓ガラスを破り脱出開始。

一撃では脱出するに必要な大きさの穴をあけることは出来なかった。(3回目に割れる)

窓ガラスを破ると水が一気に進入してきた。

水が進入するとドアは簡単に開く。

8分後

完全に水没

 

 今回の実験の結論は、今後ひたちなか西署を中心に検証され報告されると思われる。

 実験に立ち会って感想として言えることは以下の3点である。

特殊ハンマーは必ず携行すべきである。

水没しても7~8分近くは浮力がある。

何よりもパニックになることが危険である。

 したがって、万一水没したならば、

早めに窓を開く。(ドアはかなりの力でも開かない場合が多い)

まず、冷静に、深呼吸をする。(5分程度は水没しない)

ドアが開かないときは、特殊ハンマーを用意する。(シートベルトカッターとしても使える)

シートベルトをはずす(または、切る)。

ドアロックをはずす。

できれば、上着や靴、靴下を脱ぐ(なるべく身軽になる)

水が車内に侵入すると水圧を同じになり、ドアが開きやすくなる。

ドアを開け脱出する。

このページは、茨城県議会井手よしひろの公式ホームページのアーカイブ(記録保管庫)の一部です。すでに最終更新から10年以上経過しており、現在の社会状況などと内容が一致しない場合があるかもしれません。その点をご了解下さい。
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井手よしひろです。 茨城県の県政情報、 地元のローカルな話題を 発信しています。 6期24年にわたり 茨城県議会議員を務めました。
一般社団法人地方創生戦略研究所
https://y-ide.com
master@y-ide.com

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