7月10日午後、井手よしひろ県議は、潮来市大生の茨城大学広域水圏環境科学教育研究センターを訪れ、センター長の楡井久教授(理学博士)より、神栖町のヒ素問題についてヒアリングならびに意見交換を行いました。
6月29日、神栖町の飲用井戸ヒ素汚染問題で環境省は、住民説明会を開き、「高濃度のヒ素を含むコンクリート塊が汚染源である可能性が高い」と中間報告を説明しました。ヒ素は毒ガスの砲弾から分解したものでなく、毒ガス兵器に何らかの形で関連するヒ素化合物がコンクリートに混ぜられて投棄された可能性が高い、時期は現場の埋め戻しが行われた1993年前後であるとしました。
環境省は、4月に地下水の流れの調査を開始。掘削現場に埋まっていたコンクリート塊付近から水質基準の約250倍のヒ素を検出した井戸(A井戸)へ地下水が流れていることが判明。A井戸から約1キロ離れ、環境基準の43倍のヒ素を検出した井戸(B井戸)へも地下水を通じて汚染が広がった可能性が高いと報告しました。
こうした環境省の中間報告に対して、楡井教授は、1.環境省の非単元調査では、正確な汚染原因の特定には時間と費用がかかるばかりではなく、汚染を拡大してしまった可能性がある。2.汚染源が確認された現在、最も重要なことは汚染の完全な除去(土壌浄化)であり、環境省はその責任を果たすべきうである。3.今回の一連の調査法や検討委員会の検討の経緯について、純粋に学術的な視点で学会での議論・検証を行う必要がある。などの点について、詳細にデータを示しながら説明をいただきました。
楡井教授ら茨城大学の調査チームは、環境省の原因究明検討会とは別個に、ヒ素汚染が判明して以来、詳細な調査活動を行ってきました。すでに2003年夏には、汚染源が毒ガス弾などではなく不法投棄されたヒ素化合物であるとの推論を公表していました。
井手県議は、今回のヒアリングをきっかけに、9月下旬の定例議会までには、今後のヒ素対策を県に具体的に提案していく予定です。
(写真は、潮来市大生の茨城大学広域水圏環境科学教育研究センターの正門前の井手よしひろ県議)
参考:茨城大学広域水圏環境科学教育研究センターのHP