県のバランスシートと行政コスト計算書公表
12月9日、茨城県は2004年度末時点の県の資産や負債を示す貸借対照表(いわゆるバランスシート)と、企業の損益計算書に当たる行政コスト計算書を公表しました。
これは、単式簿記で行われている行政の財務諸表では、県財政の実態がつかめないとの批判を受けて作成されているものです。
県のバランスシートによると、総負債額は、1兆8619億円で、03年度末に比べ約398億円増えました。県民一人当たりの負債額も約62万3000円となり、前年度比1万4000円の増となりました。
県の借金に当たる地方債残高は、1兆6624億円となっており、負債総額の約89%を占めています。負債額が増えたのは、主に臨時財政対策債の発行など地方債残高が約401億円増えたのが要因です。
また、県の財産(資産)は、県有の土地・建物などの固定資産や貸付金、出資金を合わせて、3兆6236億円でした。建物の減価償却の増加などに伴い、前年度に比べ約193億円分目減りしました。
県民一人当たりにの資産額は約121万2000円となり、前年度に比べ約6000円の減となっています。
資産の約87%は道路の土地、建物などの公共施設(有形固定資産)です。こうした固定資産は土地の評価替えや減価償却などに伴い、2000年度をピークに3年連続で減少しています。
12月13日に開催された県議会予算決算特別委員会で、上月良祐総務部長は、「県の正味資産と負債の割合は、ほぼ1:1で他県の数値と比べても平均を上回っている」と評価しました。
5年間で人的コストを7.8%削減
一方、行政コスト計算書によると、04年度の行政コストは約8200億円で、前年度に比べ約122億円増加しました。年間収入は約7298億円で、143億円減となりました。コスト増・収入減の傾向が続き厳しい県財政を反映しています。
県民一人当たりに換算した年間行政コストは約27万4000円。前年度に比べ約4000円増加しました。
行政コストが増えたのは、職員の「退職給与引当金繰入額」(約87億円増)や、市町村合併特例交付金(約19億円増)や介護給付費負担金(約16億円増)などが膨らんだのが原因です。
13日の予算決算委員会の審議では、「行政コストは、この5年間で5%削減した。特に、人にかかるコストは7.8%減となった。財政規模が同程度の自治体との比較では、もっとも低い割合となっている」と、上月総務部長は説明しました。
参考:平成16年度茨城県のバランスシート・行政コスト計算書(PDF版)