8月3日、岐阜県で巨額の裏金が県職員組合の口座にプールされ、その一部、現金500万円が焼却されたり、ごみと一緒に捨てられていたことが発覚しました。県の調査チームは裏金について、1994年のピーク時で約4億6600万円にも上り、現在も約2億6500万円が残っているとする調査結果を県議会に報告しました。
調査チームによると、99年以降、当時の副知事が裏金の存在を隠ぺいするため、知事公室長らに指示し、各職場の担当職員に県職員組合へ裏金を移すよう示唆しました。しかし、一部の部署では組合に裏金を移さず、各自で保有。その後、処分に困り、パソコンの購入やユニセフなどへの寄付に使いましたが、計約500万円分の紙幣や硬貨を焼いたり、ごみに交ぜて捨てたという信じられない事実が報告されています。
平成10年度当初に保有されていた資金の総額は、少なくとも約4億1000万円と推計。
資金が岐阜県職員組合へ集約された時期以降(平成10年度~現在)の状況
岐阜県職員組合へ集約されたもの 少なくとも約2億1100万円
岐阜県職員組合へ集約されなかったもの 少なくとも約1億9900万円
岐阜県職員組合へ集約された資金の状況
集約された資金(岐阜県職員組合の口座上の額) 約2億5600万円(上記の約2億1100万円に教育委員会分約2900万円などを合わせたもの)
岐阜県職員組合による費消 △約1億1000万円
現在高 約1億4600万円
平成10年度当初に保有されていた資金の総額は、約3100万円と推計。
資金が岐阜県職員組合へ集約された時期以降(平成10年度~現在)の状況
岐阜県職員組合へ集約されたもの 約1600万円
岐阜県職員組合へ集約されなかったもの 約1500万円
県費以外に、岐阜県職員組合へ集約された資金 約1300万円
さらに8月8日には、梶原拓前知事が、裏金を原資とした訴訟費用の貸付制度を自ら利用していたことを明らかにしました。梶原前知事は、貸付制度が裏金で成り立っているとの認識はなかった、と弁明しましたが、退職後の現在も約700万円が未返済のままになっています。
今回の裏金問題の処分にあたっては、副知事がその中心的役割を担ったとされていますが、現職の知事がその事実を認識していなかったとは、どうしても思えません。現に、当時副知事で裏金を職員組合にプールするよう指示したとされる森元恒雄氏(現参院議員)は、梶原前知事が了解していたとするコメントをマスコミ各社に送っています。その中では、「県庁全体が混乱するため、推移を見守ることを了解してもらった」との趣旨を明記しています。
官官接待や食糧費問題など地方自治体の経費の使い方については、多くの問題が指摘され、改善されてきたように思われてきました。しかし、「500万円もの現金を燃やす」といった前代未聞の事実が浮かび上がってきた現在、岐阜県以外でも再度の見直しが必要なのかもしれません。
参考:不適正資金問題について
参考:不適正資金に関する調査について(2006/8/3付け)