7月30日、日立市の樫村千秋市長は定例記者会見で、県内市町村でははじめて行っている廃食用油を廃食用油燃料(バイオディーゼル:BDF)に精製する実証実験の経過を説明しました。
BDFは、①京都議定書のCO2排出量に換算されない、②排ガスに黒煙、硫黄酸化物、窒素酸化物など有害物質の少ない、③軽油と同等の燃費と走行性、④市販のディーゼル車に使用可能―などが特長です。
日立市のBDF実証実験は、使用済み食用油の再資源化を図り、ごみの減量化、地球温暖化防止などに役立てようとするものです。BDFの精製方法確認とBDF使用車両への影響の調査等を行い、2008年度以降の燃料化事業の事業主体、場所、採算性などの検討することになっています。
実証実験の期間は7月から9月までの3カ月間で、日立市滑川本町の滑川処理場内の倉庫に、レンタルした燃料精製装置を設置して行っています。精製能力は1日当たりで100リットルで、月2回の精製実験を行います。使用済み食用油は、十王調理場やかみね保育園など8施設から集め、月に約180リットルになります。
廃油は製油工程で、100リットル当たりメタノール18リットルと水酸化カリウム1キロを混ぜ合わせ、60度まで加熱して攪拌します。温水による中和工程や洗浄工程、脱水工程を経て、一昼夜掛けて常温まで冷やすとBDFが約80リットル精製されます。この工程で、副精製物としてグリセリンや脂肪が作られます。グリセリンは工業用石けんや肥料に利用できるという。脂肪についても再利用方法を検討しています。
1回目の実験で廃食用油183.3リットルを回収し、126.4リットルのBDFを精製しました。精製率69%で、出来上がったBDFは、性状検査専門機関に成分分析を依頼しています。実際に2トントラックに給油し、走行性能や燃費、車両への影響などを検証しています。
2回目の精製実験を8月2、3日に行い、精製率の向上を目指します。
井手よしひろ県議は、29日午後滑川処理場を訪れ、担当者から実証実験の概要を聴取しました。その中では、2回目の実験の主な目的は精製率を安定して高めることとの説明を受けました。また、トラックの実走実験では、通常の軽油よりも燃費が向上していることも報告されました。反面、事業化にあたっては、原料である廃食用油を安定的に集めるシステム作りが最大の課題であるとされました。また、廃食用油から作られたBDFは黒煙が出ない代わりに、天ぷらのような臭いが発生するため、改善の余地があることも語られました。
●日立市が行っているBDF精製実証実験のフロー図