9月12日、1時からの県議会本会議開会の予鈴が鳴り響く中、テレビでは「安倍首相辞任」の臨時ニュースのテロップが流されました。
一般質問の合間合間に、控え室を往復し、ことの成り行きに耳を欹てました。
午後2時からの記者会見で、安倍首相は、「テロとの戦いを、何としても継続したいとの思いで、職を賭していくという話を致しました。本日、小沢党首に党首会談を申し入れましたが、実質的に断られてしまいました。今後、テロとの戦いを継続させるためには、むしろ、新たな総理のもとで、それを目指すべきではないかとの思いに至った」(発言の主旨:全文は以下に掲載しました)と、辞任の理由を語りました。
現時点では、なぜこの時期に職務を放棄するのか、その納得のいく説明はありません。しかし、理由の如何を問わず、この時期の辞任は「無責任」の極みであると言わざるを得ません。年金問題や、それに続く政治家と金の問題、そしてテロとの戦いの問題と重要な過大な山積みしています。そればかりではありません、構造改革の流れの中で、地方自治体が瀕死の状態に陥っています。第2、第3の夕張市が出ないとは限りません。東京と地方の格差は大きく広がり、地方財政の再建は待ったなし重要問題です。
住民に一番身近な自治体の財政再建へ向けての抜本的改革は、安倍首相の辞任で、また大きく停滞すると懸念されます。
国会は大きく空転しますが、国民は毎日、毎日を賢明に暮らしていかねばなりません。その意味で、この時期の辞任劇には、大きな憤りを感じます。
安倍晋三首相の辞任会見
(2007/9/12 午後2:00~)
本日、総理の職を辞するべきと決意をいたしました。7月29日に参議院の選挙の結果が出たわけですが、大変、厳しい結果でした。ですが、この改革を止めてはいけない、また、戦後レジュームの脱却、その方向性を変えてはいけないという決意で続投をしたわけでございます。今日まで全力で取り組んできたところであります。
テロとの戦い、国際社会から期待されている活動を中断することがあってはならない。なんとしても継続していかなければならないと話しました。これは主張する外交の中核であります。この政策は、なんとしてもやり遂げていく責任が私にはある。この思いの中で、中断しないために全力を尽くしていく、職を賭していく、とお話をしました。職に決してしがみつくものでもないと、申し上げたわけであります。
あらゆる努力をしなければならない。環境作りにおいても努力をしなくてはいけない。一身をなげうつ覚悟で、全力で努力すべきだと考えてまいりました。
本日、小沢党首に党首会談を申し入れ、率直な思いと考えを伝えようとしたが、残念ながら、党首会談については実質的に断られてしまったわけであります。小沢代表は、民意を受けていない、とこのような批判をしたわけでありますが、大変、残念でございました。
今後、このテロとの戦いを継続させるうえにおいて、私はどうすべきか。むしろ、これは局面を転換しなければならない。新たな総理のもとでテロとの戦いの継続をしていく。それを目指すべきではないか。来る国連総会にも新しい総理が行くことが、むしろ、局面を変えていくには良いのではないか。
また、改革を進めていく、その決意で続投し、内閣改造を行ったわけでございますが、今の状況で、なかなか国民の支持、信頼のうえにおいて力強く政策を前に進めていくのは困難な状況であると。ここは、自らがけじめをつけることで、局面を打開しなければいけない、と判断するにいたったわけでございます。
先ほど、党の5役に考え、決意をお伝えしました。政治の空白を生まないように、なるべく早く次の総裁を決めてもらいたいと、本日からその作業に入ってもらいたいと、指示しました。私の決断が先に延びることで、国会において混乱が大きくなると。その判断から、決断はなるべく早く行わなければならないと、そう判断しました。以下、質疑応答。
――参院選で大敗した直後に、やめるべきだという声もあった。なぜ、内閣改造を終えた今なのか。
(参院選は)厳しい結果でありました。反省すべきは反省しながら、進めている改革を止めてはいけないという思いで、私の進めている国造りは進めなくてはいけない。続投して、内閣の改造を行い、所信を述べさせてもらいました。しかし、テロとの戦いを継続していくことは重要なことであり、約束でもあり、国際公約でもございます。それを果たしていくためには私が辞することで、局面の転換をした方が、むしろよいと判断をいたしました。
――自衛隊の活動の継続は?
なんとしても改革を進めなくてはいけないと思い、全力を尽くしてまいりましたが、残念ながら私が総理であるということで、野党の党首との話し合いも難しい状況が生まれています。そして、党において、今の状況においては新しいエネルギーを生み出して、状況を打開し、そして、場合によっては新法を新しいリーダーのもとで推し進めていく方がいいのではないか、と考えました。
――国際公約と言いながら、途中で職を投げ出すのは無責任ではないか。
その(テロとの戦いの)ために、全力をつくさないといけないと考えておりました。むしろ、約束を果たしていく上で、どういう環境を作るかを考えていました。私が職を辞した方が、そういう環境ができるのではないかと。私がいることで、残念ながら(自衛隊の活動を継続させるための法を)成立させることにマイナスになっていると考えました。
――国連総会までに新しい総裁を決めるのか。選び方、後継の条件は何か。
(辞意を)決断したばかりでございます。日程は決めていたわけではございませんが、なるべく早い段階で後継の総裁を決めてもらいたいと思っています。後継の総裁をとやかく申し上げることは適切ではないと思いますが、いずれにせよ、新しいリーダーとして、与党を率いて力強く政策を前に進めていってもらいたいと思います。
――戦後レジュームからの脱却の政策が後退してしまうのでは。
私が続投するにあたって、新しい国造りを進めていかなくてはいけない。その中で、戦後、原点にさかのぼって見直してしていく、レジュームの脱却も果たさなくてはいけないという思いであります。教育基本法の改正や公務員制度の改革等々の戦後のできあがった仕組みを変えていく。そういう挑戦をしてまいりましたし、成果もあげてきたと思います。しかし、現在の状況においては、新たな局面の打開をはかって、新しいエネルギーで前に進めていかないと、私の政策の実現も難しい状況と判断しましたが、ぜひ、この方向で進んで欲しいと思っております。
――総理の職を辞するのは、国民の目からみると逃げていると思われるのではないか。
総理の職責はたいへん重いものと考えています。そして、私も思うことを述べさせてもらいました。述べたことを実行していくという責任があるわけでござしますが、状況において、果たしていくことが困難ならば、政治的な困難を最小限にする観点から、なるべく早く判断するべきだと結論にいたりました。
――どうして所信表明をした後に辞意を表明したのか。
総理としては職責を果たさなくてはいけないと考えています。ここは、職を辞することで、局面を変えていかなくてはいけないと、判断をしましたのは、今日、残念ながら、党首会談も実現しないという状況の中で、私の約束をしたことができない、むしろ私が残ることが障害になっている、と判断したからであります。
――困難な状況の原因の分析、反省点は。
反省点は多々ございます。新しい内閣において、安倍内閣として、国民の信頼を得ることができなかった。私の責任だろうと思います。それを原動力に政策を前に進めていくというのが残念ながら、できなかったということになります。
――党首会談の見通しは立たなかったのか。
私が民意を受けていないということが理由の一つでございます。選挙結果はやはり、大きなもの。新しい自民党のリーダーの間において、率直な党首同士の話し合いがなされると期待しております。
――テロとの戦いの面では、党首会談がなくても突破する道があったのでは。
私はテロとの戦いにおいては、中断されてはいけないと、シドニーで、職を賭すと話したわけであります。新法で継続をはかっていくという考えもありますが、日程的な関係で、新法ですと一時的に中断する可能性が高いわけでございます。そうならば、事実上、そうゆう状況が出てくるわけで、そう判断せざるを得ないと考えました。
今、党が新たなスタートをする方がむしろ良いだろうと。国民のみなさまに対しましても、混乱を招かない上において、なるべく早い決断がよいと判断しました。