現在開会されている県議会での質疑で、霞ケ浦導水事業に関して、まず水戸市の桜川から千波湖まで導水を行い、千波湖の水質浄化を行う方針が知事より示されました。
霞ケ浦導水事業は、霞ケ浦と那珂川を、トンネルで結び、霞ケ浦の水質環境改善や水道用水、農業用水の確保を目指す事業です。
1984年の事業開始から既に、23年が経過していますが、工事の進捗は3割ほどしか進んでいません。予定では、2010年度までに完成するとされ、総事業費は1900億円が見込まれていました。しかし、06年度までに総額の76%の1440億円を支出されましたが、霞ケ浦から那珂川まで延長43キロのうち32%の約14キロしか完成していません。
その上、国の年間事業費は1998年の112億円をピークに年々減らされ減り、06年度は21億円、07年度予算額は14億円となっています。さらに、来年度の国の予算は、概算要求の段階で、たいへん厳しい状況にあるといわれています。
県議会代表質問の答弁で橋本昌知事は「水質改善が進まない中、導水事業は霞ケ浦、桜川、千波湖の水質浄化を図るため極めて重要で、1日も早い整備が必要」と強調しました。その上で、「那珂川と千波湖間の導水を優先的に実施することを国に働きかける」と答弁しました。
そのためには、那珂川流域漁協との調整が難航している那珂樋管(ひかん)工事を、計画通り今年度中に着手するよう、県として国に働きかけるほか、漁業補償交渉の支援など、国にできる限り協力をしていく意向を示しました。
霞ケ浦導水事業で新たに生み出される水利権は、常陸那珂火力発電所などの県央広域工業用水、水戸市やひたちなか市など県中央広域水道の水源として既に暫定取水が始まっています。
参考:国土交通省霞ヶ浦導水工事事務所
着工を働きかけ/霞ヶ浦導水の那珂樋管/知事が議会答弁
日本工業経済新聞(茨城版)(2007/9/12)
霞ヶ浦導水事業の那珂樋管の整備促進について、橋本昌知事は9月10日の県議会で「那珂川からの取水などを行う樋管が完成すれば、桜川、千波湖までの導水が可能となる。事業の進捗を図り、必要な事業費を確保する上からも、那珂樋管の工事に本年度内にも着手するよう国に対して働きかけてまいりたい」と答弁した。田山東湖議員(自民)の代表質問に答えた。
霞ヶ浦導水事業は、霞ヶ浦、桜川、千波湖の水質浄化に大きな役割が期待され、県でも1日も早い整備を求めている。
これまで、水戸トンネル、那珂機場、桜機場は整備されており、那珂川からの取水などを行う樋管が完成すれば、桜川、千波湖までの導水が可能になる。
橋本知事は「これにより、早期に水質浄化の効果を目に見える形で示していくことが、本事業の一層の推進を図る上で重要なこと」と強調。
一方、国では、事業が進展しないため年々予算が削減され、平成20年度の予算確保も厳しい状況にあるという。
そのため橋本知事は「事業の進捗を図り、必要な事業費を確保する上からも、那珂樋管の工事に本年度内にも着手するよう国に働きかけてまいりたい」と述べた。