今年6月、安倍前首相ので閣議決定された「骨太の方針2007」に盛り込まれた農地改革案のとりまとめが、現在、農水省でいそがれています。
①5年程度を目途に、農業上重要な地域を中心に耕作放棄地ゼロを目指す。
②農地リースの加速:定期借地権的制度、農地利用料における市場の需給の反映、農地の一般企業への賃貸促進等を通じて、農業経営者への農地の集積を促進する。
③法人経営の促進:経営の多角化や資本の充実等の観点から、農業生産法人の要件を見直す。農地の権利の設定・移転をしやすい仕組みをオプションとして用意する。
現在の日本の農地制度は、「小作農」という戦前の非民主的な制度を反省してできたものです。第二次大戦後、政府はGHQを後ろ盾てとして農地解放を断行し、地主から農地を取り上げて実際に耕す人に所有させました。農地を「利用する人が所有する制度」を作り上げたわけです。
しかし、戦後60年が過ぎ多くの弊害が生まれてきました。後継者がいなくて耕作が放棄された農地でも、値上がりを期待して農地を手放さない農家はたくさんあります。また、一度手に入れた農地を自分の代で無くしてしまう事への罪悪感は強く残っています。そのため耕作放棄地は増えたのに、大規模農家は思うように育ちません。農地の集約化が全くうまくいかないのです。
そこで「利用する人が所有する制度」を見直して、貸し借りをしやすくし、やる気のある農家に農地を集めるのが改革の目的です。
具体的には、一般企業が農業に算入しやすくします。これまでは農家と一緒に「農業生産法人」をつくるなど一定の条件を満たさないと、企業は農業をできませんでしたが、今回の改革では、農地を買うのではなく借りるのであれば、企業が単独で、自由に農業に参入するのを認めることを想定しています。
また、各市町村に「農地コーディネーター」を置くことが検討されています。今は規模が大きな農家でも、農地が散らばっていることが多く、経営は必ずしも効率的ではありません。分散している農地をまとめるため、農家を調整するのがコーディネーターの役割です。
戦後の混乱期以来の大きな農業改革ともいえる、この「平成の農地改革」。単に農家だけではなく、日本全体の課題として国民的議論が是非必要です。
「骨太の方針2007:農地改革案」には大賛成です。
さらに、農産物の完全自由化及び農業規制の完全撤廃を行って、真の農業改革を進めてほしい。