前防衛事務次官の守屋武昌の防衛装備品の調達をめぐる汚職事件などを重く受け止め、「中期防衛力整備計画」の抜本的な見直の議論が起きています。現在の中期防衛力整備計画(2005~09年度、総額約24兆2400億円)は、いったん白紙に戻し、08年度中に新計画を策定することが必要です。
中期防の見直しでは、①随意契約による過大な見積もりの排除、②自衛隊を含めた組織の見直し、③装備品の一括購入などによる調達から廃棄までの間に必要な総費用の見直し、などが重要です。
公明党の太田昭宏代表は、新年1月4日の党新春幹部会で、「(防衛調達品の)調達の仕組みを変え、随意契約の原則廃止や過大見積もりの徹底検証も必要だ。(調達から廃棄までの)ライフサイクル管理の徹底、コスト(経費)縮減への努力、自衛隊を含む防衛省全体の組織改革へ人員の削減も行っていかなくてはならない。その上で、現中期防(現行の中期防衛力整備計画、2005~09年度)を廃止し、来年度中に新中期防を策定すべきということを提言したい」と延べ、中期防の白紙撤回を提案しました。
(写真は1月4日の党新春幹部会で挨拶する太田昭宏代表)
参考:中期防衛力整備計画解説
党新春幹部会でのあいさつ要旨 太田昭宏公明党代表
公明新聞(2008/1/5)
GDP(国内総生産)、給与所得引上げを、来年度中に新中期防を策定すべき
新年が明け、いきなり飛び込んできたニュースが(ニューヨーク原油先物市場で一時)1バレル=100ドル(をつける)という波乱の幕開けとなった。(今年が)子年で、(十二支の1番目に戻り)新しくスタートを切ることから、徹底的に原点に戻って、拡大戦に力強くスタートを切っていきたい。
わが党は「大衆とともに」が原点だが、生活や庶民に基点を置き、庶民や中小企業、地域で困っている人の側に立って徹底して動き、闘っていくところに公明党の真骨頂がある。どこまでも生活に(基点を置く)、現場を走る、拡大戦に挑む闘いを展開していきたい。
(2日の)新春街頭演説会でも話したが、今年はGDP(国内総生産)や給与(所得)の引き上げを一つの大きな柱として、闘わなくてはならない。日本のGDPはこの10年間、約500兆円と横ばい。給与(所得)も1997年の総額280兆円をピークに、若干下落しているが、まったく横ばいの状況だ。
(GDPの引き上げに向け)イノベーションで技術力を上げるとともに、より大事なことは雇用環境をつくっていくことに、しっかり力を注いでいきたい。(労働力人口を確保していくためにも)60歳代に職場があるという環境づくりをさらに進めていくことが大事だ。
同時に、30歳前後の「年長フリーター問題」について、特に若者の非正規(雇用)から正規雇用(への転換)をし、職場の環境をしっかり整えるとともに、スキルアップできる環境づくりが重要だ。
さらに(女性の社会進出についても)結婚すると職場からいったん離れ、子育てが終わった時に職場に戻る状況を脱皮し、女性が社会で大きく活躍していける場をつくりたい。
給与(所得)の向上については、大企業の労働分配率(企業利益のうち人件費に分配された割合)が極めて低い現状がある。(企業が)利益をどこに配分しているかという政府統計によると、大企業(の利益の配分先)は、設備投資や配当が上位だが、従業員への(利益の)還元は6番目。中小企業は社内留保の次に、従業員への還元がある。大企業にも従業員への還元に力を注ぐことを強く要請したい。
さて、(今臨時)国会は、14年ぶりの越年国会になった。昨年末、パキスタンでブット元首相が凶弾に倒れるという衝撃的なニュースがあった。国際協調の中で、対テロとの戦いに力を注がなくてはならないという意味で、インド洋における海上自衛隊の給油活動については、(再開するための補給支援特別措置法案の)成立を期していきたい。
昨年暮れ、(薬害C型)肝炎の(被害者を一律救済する)救済法を議員立法でつくることが決まった。議員立法をまとめ来週にも成立させたい。
越年国会では、この二つ(の法案成立)を軸にして闘いを進め、通常国会の冒頭から論戦をしっかりし、生活にしっかり焦点を当てながら、頑張っていきたい。
もう一つはムダをなくせ、行政、政治はムダに切り込めというのが国民の大きな声だ。そこで私は、防衛省の大改革を提言をさせていただきたい。
(防衛調達品の)調達の仕組みを変え、随意契約の原則廃止や過大見積もりの徹底検証も必要だ。(調達から廃棄までの)ライフサイクル管理の徹底、コスト(経費)縮減への努力、自衛隊を含む防衛省全体の組織改革へ人員の削減も行っていかなくてはならない。その上で、現中期防(現行の中期防衛力整備計画、2005~09年度)を廃止し、来年度中に新中期防を策定すべきということを提言したい。
昨年暮れには、会計検査院を訪れ、(同院が各省庁に対し)20年間(「不当」な支出と)指摘してきたものの、約100億円が返されていないという会計監査の在り方であってはならないと申し上げてきた。会計検査院の強化も含め、全力を挙げて、「税のムダをなくしていけ」との国民の叫びに応えていきたい。
いよいよ、拡大戦のスタートです。今年は衆院解散・総選挙がいつあるか分からない状況だが、私は今年の秋以降が望ましいと言い続けてきた。そういう意味で、(公明党は)国民生活を直視して、福田内閣や自公連立の中で先駆を切り、現場を走り、国民の声を聞く“一番バッター”の役割をしっかり果たす責務があると思う。
「公明党が現場を走るナンバーワンの政党である」「ネットワーク政党は公明党」との誇りを胸に抱きしめて、徹底的に現場を走り、庶民の生活向上のために全力を尽くしていきたい。